早川さんの事例で考えてみましょう。
◆「早くしなさい」という言葉。「あと30分でやりなさい」と具体的に表現したところで、行動しない可能性もかなり高いものです。
そこで、「子どもが行動しなければならないと感じる心理」を考えてみましょう。すると次のような質問になります。
「あとどれくらいの時間でできる?」
つまり、親が具体的な数字を言うのではなく、子どもに具体的な数字を言わせていきます。すると、自分で言ったことには責任が伴うため、実行する可能性が高くなるのです。
「子どもの心理」を考えた表現にする
◆「片付けしなさい」という言葉も、具体的に表現すると「あと10分で片付けなさい」とか「机の上の物を元の場所に片付けなさい」などとなりますね。しかし、これでも動かないときは、次のように表現しましょう。
「30分で部屋を片付けるから手伝ってもらえるとお母さんはとてもうれしい(助かる)」
この表現も、単に具体的にというだけでなく、「子どもの心理」が考えられた表現です。親も一緒に行動するということで一方的指示ではないと感じ、受け入れやすくなります。さらに、もし手伝ってくれたらとてもうれしいという感情を伝えることで、お母さんを助けたいという感情が湧き出て行動する可能性が高まるのです。
◆「宿題(勉強)をやりなさい」という言葉、これはいちばんやっかいな問題です。
この問題については、「子ども手帳の活用」「強制的指示をしない」など、これまでたくさんアプローチについて記事を書いてきました。それというのも、一言で解決することはできないほど、この問題は原因も対応方法も多種多様だからなのです。そこで、ここでは、言葉が抽象的すぎて行動できないという理由であると仮定して話を進めます。
具体的な指示となると「○時までに、△△の宿題を終わらせてしまいなさい」という言葉になると思われがちです。しかし、これは、ほぼ効果がありません。なぜなら「勉強関係に関する親からの指示」は基本的に受け入れないという傾向を子どもがもっているからです。
では、どのように伝えればいいかというと、次のような表現をしてみてください。
「宿題のやり方がわからなければ、聞いてね。わかる範囲で教えてあげられるから」
つまり、親が伴走しているという感覚の表現です。「サポートはできるよ」というメッセージです。裏のメッセージとしては、「宿題をやるのはあなたの問題」ということを伝えているのです。
以上のように、抽象的な指示をすることを今後やめて、具体的言葉に切り替えるか、単に一方的な指示ではなく、子どもと伴走しているという表現を使うことで、子どもは具体的に行動に移せる可能性が高まります。よろしければ、試してみてください。
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