「ながら運転」で命を落とす人が出る真の理由 情報過多の中で「気を散らさない」6原則

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5.スイッチを切り替える

デキる人間はいつでも、突然のニュースや格好のチャンス、土壇場での計画変更に対応する準備ができている。集中力も必要だが、他方では、注意を引こうと競い合うさまざまな刺激の優先順位を判断し、すばやく、柔軟に、ある作業から別の作業、ある想念から別の想念に飛び移る用意をしておかねばならない。こうした思考の柔軟性と適応性を、注意の転換と呼ぶ。

ADHDの人は注意力に欠陥があると思われがちだが、まったく注意を払えないわけではなく、注意力を制御できない、と説明するほうが正しいだろう。頭のスイッチがいったん「オン」か「オフ」になると、それを切り替えるのが難しいのだ。

効率的でデキる人と段取りが悪い人の差とは?

6.スキルを総動員する

効率的でデキる人間は、内面の動揺を抑える、持続的な集中力を育てる、思考をコントロールする、新たな刺激に柔軟に適応する、情報を再現するなど、本書で説いた能力を総動員することができる。

集中できず段取りが悪い人は、こうしたことをいっさいしていない可能性がある。そんなときはすべてのスキルを活用する。考え、感じ、行動し、生きる。脳がさまざまな部位を活用して課題実行や問題解決を行うように、こうした資質を巧みに組み合わせて、目の前の問題やチャンスに対応する。

「ながら運転」をするドライバーや、ストレスで疲れ果て、注意散漫で段取りが悪いせいで地位や仕事、重要な情報をなくしてしまう人がいる一方、その正反対の人もいる。

彼らは家でも職場でも、脳が本来持つ力を活かして生活を整理し、目の前の仕事に集中して高い生産性――それに人生の喜び――を享受する術を知っている。

『ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力』(文響社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

有名人を見れば、彼らが功績を残せたひとつの要因は、ピンチのときに冷静さを保ち、やるべきことに集中できたからだとわかる。それ以外にも、新聞に名前は載らずとも、先天的、後天的に身に付けたスキルを使って脳の力を引き出し、仕事でも家でも並外れた生産性をあげて成功を収めている人は沢山いる。

バランス、柔軟性、落ち着き。感情を抑え、さっと頭を切り替え当面の問題に集中する能力。後で説明するように、これらはすべて頭が整理された人の特徴である。そんな人は、段取りがよく、やるべきことに意識を切り替え集中できる。変化の荒海を溺(おぼ)れず渡ることができる。

誰でもそうなれる、いや、そんな意識のあり方を身に付けられる。学校の教科書や仕事の資料をもっと集中して読みたい、効率的に働き夫(もしくは妻)や子どもとの時間を増やしたい、スピード出世を果たしたいなど、目的は何であれ、それを実現する能力、必要な資源はその人の頭の中にある。パソコンに搭載されているいろいろな機能と同じで、ただ使い方を知らないだけなのだ。

ポール・ハマーネス ハーバード大学医学部精神医学准教授

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Paul Hammerness

注意欠陥・多動性障害(ADHD)を中心に、過去10年間脳と行動に関する研究に携わる。精神科医や精神衛生の専門家、教育関係者、家族を対象に、国内外でADHDに関する講演も行っている。臨床現場でも小児、思春期青年、成人の治療を幅広く手掛ける。マサチューセッツ総合病院精神科医、ニュートンウェルズリー病院児童思春期精神科の医師でもある。

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マーガレット・ムーア マクリーン病院コーチング研究所共同所長

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Margaret Moore

コーチ養成学校ウェルコーチズ創設者兼CEOとして、心身の健康にかかわるプロのコーチ向けに国際的な基準策定に携わる。証拠に裏付けられた理論や概念を、長期的な変化のきっかけとなる実用的なアプローチに変換し、クライアント一人ひとりの世界を一変させる手腕に長けている。「ハフィントン・ポスト」や学術誌『Psychology Today』にコーチングと変化に関する記事を投稿している。

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