「ながら運転」で命を落とす人が出る真の理由

情報過多の中で「気を散らさない」6原則

・ハンズフリーかどうかにかかわらず、運転中に携帯電話を使用すると、運転者の反応に、血中アルコール濃度が法定制限値の0.08%に達した場合と同程度の遅れが生じる。

・運転中の携帯電話使用により、運転にかかわる脳の活動量が37%減少する。

・2008年に「ながら運転」に起因する事故で約6000人が死亡し、50万人以上が負傷した。

・「ながら運転」による死亡事故を起こす割合が最も高いのは、20歳未満の若く未熟な運転者である。

・運転中の携帯端末使用により、負傷事故を起こす危険性が4倍高まる。

「ながら運転」を、若者――時速140kmで高速を走りながら、友達のフェイスブックへの投稿をチェックするティーンエージャー――だけの問題と思ってはいけない。

ピュー研究所が2010年に行った調査によると、携帯メールを使用する成人の約半数が、運転中にメールを送信した経験を持つ(この調査で、16~17歳の若者の約3分の1が同じく運転中にメールを送信したことが判明している)。

distraction.gov を参照すると、米国人の半数が運転中に携帯電話を使ったことを認め、7人に1人が運転中にメールを送ったことがあると回答している。しかも彼らは、分別があって然るべき人たちだ。比較的高学歴な運転者のうち65%が、運転中に通話やメールを行っている。

つまるところ、「ながら運転」――注意散漫という病のひとつの症状――はもっと大きな問題の一端にすぎないとの声も聞かれる。人類は情報過多の段階、あるいは少なくとも、生活上の雑事に忙殺されるあまり、あと1本メールを書き電話を入れるためには命の危険さえ顧みない段階に達しているというのだ。

情報洪水の現代で、「気が散る」のは仕方ないのか

どうしようもないという人もいる。生活のペースは加速し、気を散らす要素は増える一方なのだから、慣れるしかない。もうお手上げだと。

だが、そんな言い草はナンセンスだ。技術進歩のスピードや世の中のペースを遅らせることはできなくても、複雑な変化に対応するだけでなく、そんな社会で成功するため、自分をもっとうまくコントロールする方法はきっと見つけられる。

長年患者と接した経験や、増える一方の臨床文献、脳科学の進歩から得られた知見に基づき、私たちはADHD(注意欠陥・多動性障害)患者と一般の人の悩みへの理解を深めてきた。

その知識を活かせば、忘れっぽくなくなり、注意力を取り戻し、注意散漫や集中力不足のせいで生活がめちゃくちゃになるのを防ぐには何をすべきか一層明確にできる。私は、数多くの重要な脳の機能を「思考を整理する法則」という6つの原則にまとめた。この脳のスキルは、誰でも伸ばし習得することができる。

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