しかし、このまま子どもの独自の感性を大切にするだけでは、いつまでも正解に至らず、国語の点数に結びつかないばかりか、国語自体が嫌いになってしまう可能性もありますね。そこで、もう1つのスタンダード、世の中のスタンダードを学びます。
先生:「なるほどね、そう思ったわけだね。では、ここでもう1つ質問するよ。世の中の大半の人が選ぶとしたらどれを選ぶと思う?」
子ども:「……」
先生:「ゆっくり考えていいよ」
子ども:「2番……かな」
先生:「どうして2番だと思ったの?」
いかがですか。「世の中の大半の人が選ぶとしたらどれを選ぶと思う?」と聞かれると、子どもの意識が、世の中の一般の視点に移ります。すると、状況を客観的に見ることができるようになるのです。この方法は筆者が毎回、授業で実践してきた方法です。この方法で多くの子どもたちが、正解にたどり着けるのですから、不思議です。
国語の問題を解く目的は、正解を選ぶことなのですが、そのためのアプローチがまったく異なっていることがおわかりいただけたと思います。
まとめると次のようになります。
なぜその選択肢を選んだのかを言語化させる
1.まずは正解・不正解にこだわらずに、なぜその選択肢を選んだのかを言語化させる(選ばなかった選択肢の理由も言語化させる)
→選んだ理由については、特に否定はしない。選んだ理由を独自に持っていることが重要であり、正解しているか不正解となっているかは、この段階では、特に言わない。
2.「世の中一般の多くの人が選ぶとしたらどれを選ぶだろうか」と質問する
→視点が自分から世の中の多くの人に移ると、見方が変わり、別の選択肢を選ぶ場合が多い。そのときもなぜそれを選んだのかを言語化させる。
3.ここで初めて、正解を言う。すると1と2のプロセスを経ているため、子どもは自分の感性を否定はされておらず、また世の中一般の考えにもフォーカスできるので、安心して正解を受け入れることができる
以上のプロセスを経ると、子どもの中に、正のダブルスタンダードが出来上がります。これができると、自分の感性を大切にしつつ、世の中の人たちの考え方も理解し、受け入れることができます。
沼田さんの息子さんはすばらしい感性をお持ちなので、それを大切にしつつ、もう1つのスタンダードである世の中全般の人の感性も知る場を国語の学習を通じて、ぜひ作ってみてください。
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