なぜこのようなことをお話しするかといえば、沼田さんのお子さんの「人とは異なる感性」を大切にしてもらいたいからです。もし、人と異なる感性を“正そう”としてしまうと、これからの時代に必要な大切な感性を奪ってしまうことになりかねません。
どのように感じるか、どのように考えるかは、もっと自由であっていいのです。そこからイノベーションが生まれ、世の中に貢献できる知見が生まれたりするのですから。
しかし、このように言われても、学校のテストでは、たった1つの答えにたどり着けたら○、違ったら×がつくため、いくら自由な考えや感性があっていいと言われても困りますよね。
×ばかりつけられていたら、子どもは自己肯定感が低下し、その子が本来持っている大切な感性や能力まで台なしになってしまうかもしれないということもあります。そこで、沼田さんには次のような解決策についてお話ししましょう。
それは、「ダブルスタンダードを持つ」ということです。
ダブルスタンダードとは、「その子が持っている独自の感性による基準と世の中一般の常識という2つの基準」を意味します。矛盾することなど、ネガティブな意味で使われることも多い単語ですが、ここではプラスの意味で使います。
ダブルスタンダードを持つには
このダブルスタンダードを持てるようにするには、筆者が、国語の授業で次のような2つのステップが参考になると思います。
先生:「ではA君、この問題の答えは何を選んだ?」
子ども:「3番です」
先生:「どうして、3番にしたの?」
子ども:「なんとなく」
先生:「『なんとなく』を言葉にしてごらん」
子ども:「2段落に○○と書いてあって、そのような状況だと、3番に書いてあるようなことを主人公がやるかと思ったから」
先生:「なるほど。そう感じたんだね。じゃ、1番、2番、4番はどうして違うと思った?」
先生に指されて、間違った答えを言うと「違う」と言われ、別の生徒に当てていく。もしそんなことをしたら、子どもは今後、答えることを拒否することでしょう。「間違える=悪いこと=自己肯定感の低下」にしかならないと悟ることでしょう。
なぜ、違うのかという理由がわかることもなく、ただ違うと言われても子どもは困ってしまいます。なぜそう答えたのか、なぜ違うのかを知ることが「学び」なのですね。ですから前述の会話を見ていただくとわかると思いますが、はじめに正解、不正解とは言っていません。「なぜそれを選んだの?」「なぜほかを選ばなかったの?」の2点を聞いているだけなのです。そして「なるほど」ということで子どもの考えを受け入れています。
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