神保町というとカレーのおいしいお店が集う地だというイメージを持っている人も少なくないかもしれないが、ラーメンファンの間では、「半チャンラーメンの聖地」として神保町が挙げられる。「さぶちゃん」「伊峡」「成光」というお店が「神保町半チャンラーメン御三家」(これに「たいよう軒」を加えて「四天王」と呼ぶこともある)と呼ばれてきた。
まるで「町中華」の凋落を象徴しているかのよう
価格も全体的にリーズナブル。「伊峡」ではラーメンが430円、半チャンラーメンは何と630円だ(2017年9月現在)。ただ、中でも元祖といっていい「さぶちゃん」が閉店してしまったのは、「半チャンラーメン」というメニューを提供してきた「町中華」の凋落を象徴しているようでもある。
とにかくメニューが豊富だったり、マンガが置いてあったり、店主の中華鍋の音がカンカンと響いたり――。そんな「町中華」の定番メニューが「半チャンラーメン」だ。ただ、「町中華」は今、店主の高齢化や後継者問題に悩んでいる。
厚生労働省が2011年に発表した「飲食店営業(中華料理店)の実態の経営改善の方策」によれば、個人経営の中華店の店主の年齢は50歳以上で72%。5年以上前のデータなので、今はさらに高齢化が進んでいるだろう。
このうち営業時間が10時間以上の個人店は30.8%。閉店時刻も「21時以降」が73.9%を占め、長時間営業が当たり前となっている。そして、「後継者がいない」と答えたお店は何と全体の62%に上った。
店主の高齢化が進み、後継者探しも難しく、長時間労働となると閉店もやむなし。実数を把握できないが、2000軒以上のラーメン店・中華料理店を食べ歩いている私から見ても、「町中華」は確実に町から減ってきている。おのずと「半チャンラーメン」を出すお店も減っていっているということだ。
町中華自体の減少以外にも、「半チャンラーメン」を提供しているお店が少なくなってきている理由が3つある。まずは価格の問題だ。
ラーメン店や中華店には、つねに「1000円の壁」という課題がある。心理的に1つのメニューが1000円を超えるか超えないかは、いくら美味しくても食べ手が本当に高いと感じる可能性があり、ラーメン店や中華店の店主はつねにそこに悩んでいる。
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