五輪日本チームに学ぶ「プレゼンの王道」

グローバル基準のプレゼンとは何か

滝川クリステル氏は、手を合わせることで、アジアンビューティーを印象付けた(写真:アフロ)

 プレゼンテーションとはしゃべることではない。プレゼンテーションとは演じることである。シナリオを作り、振り付けをし、演技をする。2020年の東京五輪招致成功の大きな原動力となったとされる最終プレゼンテーション。そのシナリオは緻密に設計され、周到な振り付けが施され、登壇者はその「役」を、“日本人離れした技”で演じ切った。

プレゼンで大事なのは“バリュー”

先日のアップルの新商品発表会などを見てもわかるように、プレゼンは、ある種のエンターテインメント、舞台である。その目的は、何より、聴衆を楽しませ、魅了し、その心を動かすことにある。重要なのは、話し手が「何を話したいか」ではなく、聞き手が「何を聞きたいか」、つまり、相手にとって利益になる話、“バリュー”である。

それでは、今回のプレゼンテーションにおいて、聞き手であるIOC委員たちが求めた“バリュー”とは何か。

それは、大きくは「大義」と「確実に、安全に、安心して開催することができる五輪」という2点だったのではないか。

「大義」とは、まさに「五輪の価値」「オリンピックムーブメントの継承・発展」「スポーツの力」といった、IOC委員たちが聖典とする信条のことだ。プレゼンの中で、各登壇者はそうしたメッセージを繰り返し、最後に、竹田恒和招致委員会理事長が「スポーツが、オリンピックムーブメントそのものが、(2020年東京大会の)最大の勝者となる」と力強くうたい上げたのは、そういったIOC委員たちの思いや期待に答えるためであった。

プレゼンの中で流されたメイン映像も、少年がバスケットの選手に偶然、出会い、教えてもらった経験を糧に、自分もバスケット選手になり、街角で見つけた少年にバスケットを教える、というストーリーを感動的に紡いだものだったが、これも「オリンピズムの継承」という「大義」を描き出し、IOC委員の心を揺さぶった。

もうひとつの「確実性、安全性」のメッセージは、シリアを隣国とするトルコのイスタンブール、経済不安を抱えるスペインのマドリッド、さらに、不安要素を抱える次回開催国のブラジルのリオデジャネイロという“比較候補”を見せられたIOC委員にとっては、最も魅力的に映ったに違いない。

懸念点であった汚染水の問題について、安倍首相が力強い口調とジェスチャーでまったく問題ないと言い切ったことも功を奏したと言える。

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