「話し手」と「聞き手」がいるとします。「話し手」が非常に上手に話をして、話がわかりやすい人であった場合でも、そのひとの言いたいことは、「聞き手」には最大でも80%ぐらいしか伝わっていません。話のプロでも80%が限界でしょう。
次に「聞き手」の能力が非常に高く、理解力抜群、語彙レベルも高く、一を聞いて十を知るレベルであったとしても、「話し手」の言いたいことの理解度はよくて80%程度でしょう。これも高水準です。
ということは、この高水準の2人がコミュニケーションをとると話の内容や言いたいことが80%伝わるかといえば、そうではありません。
“掛け算”、つまり、80%×80%=64%程度になっているのです(なお、数字は大体のイメージです)。
最高水準の2人でこのレベルですから、もし「話し手」が普通レベルで50%、「聞き手」も普通で50%であれば、25%しか伝わっていないということです。
伝わることといえば、相手は機嫌がいいとか、怒っているとか、顔の特徴や声のトーンばかりだったりします。これらはかなり正確に伝わりますが、話の主旨や内容は実は大して伝わりません。
100%近くまで伝える方法がある
これが、上下関係のある2人であれば、どうでしょう。つまり、上司と部下、先生と生徒、親と子であれば、上からの話の内容がわからなくても、下の立場の人は上の立場の人へ確認を取るということは一般的にしません。つまり、一方通行型の伝達で終わってしまうため、コミュニケーションになっていないのです。
しかし、この伝えたいことの減衰を止め、さらに100%近くまで伝える方法があるのです。
それは、「聞き手に、話し手が言った内容を、再度、自分の言葉で言わせること」です。
たとえば、親が子どもに、説明し終わったら、親は「わかった?」と聞きますね。すると子どもは大抵「うん」と言います。ここで親は、わかったと信じ、次に進めてしまうことがあります。しかし実際、子どもはわかっていないことが多いため、後で悲劇がやってきます。
ではこの場合どうすればいいかというと、親はさらにこのように聞くといいでしょう。
「わかった? そう、じゃ、自分の言葉で説明してみて」
これで相手の理解度が確認できます。これは上の立場の人がしないといけないことなのです。積極的な子どもや部下であれば、下の立場でも、わからなければ自分から言うかもしれません。しかしそれはまれなケースです。ですから、相手の理解度を上げるために、親や上司が確認をするといいでしょう。慣れてくれば、聞き手の顔を見ただけで理解度がどのくらいかわかるようになります。
以上の2つのステップを試してみてください。お子さんが変化していくことに驚くことと思います。玉木さんのお子さんの問題が、「単純に素直ではない、立ち直りが遅い」というパーソナリティの問題ではないということがきっとわかるはずです。
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