一般に、強制されたことに対して人は、意識的、無意識的にその逆の行動を取るのです。もしその反作用がないように見えるとしたら、その人の心の中に、ストレスが蓄積されている可能性があります。ですから、玉木さんのお子さんは、心の中にストレスをためないように「素直に聞かない」「怒られないように答えを写す」という態度に出ているのです。
要するに、「子どもの対応が正しい」ということなのです。ストレスをためるとろくなことはありませんから。
このような話を聞くと、「素直でないことや、答えを写すことが正しいのですか」と思いますよね。でもよく考えましょう。「なぜ、素直でなくなっているのか?」「なぜ、答えを写すようになってしまったのか?」それはプライドの問題ではないのです。もしプライドの問題と思うのであれば、こう考えてみましょう。「なぜ、プライドを高くしなければならないようになってしまったのか?」。
これらの回答を簡潔に答えるとこういうことになります。
「親のこれまでのアプローチが正しくなかった」
でも、ショックを受けることはありません。ショックが強いと今度は親がストレスになってしまいますから。もしそれに気づくことができたならば、今から変えればいいのです。教育に手遅れはありません。気づいたときから変えていけばいいのです。
お子さんが変化していく2つのステップ
では、具体的にどのように対応すればいいか、次にお話ししましょう。取るべき対応は、たった2つのステップだけです。
現在の小4の問題でできないのであれば、小3、小2とさかのぼっていきます。「絶対にできるし簡単!」という段階までさかのぼります。図形が苦手なのであれば、図形関係の問題だけをさかのぼり、簡単な問題をこなしていきます。するとどういうことが起こるかというと、「図形=簡単→面白い→好き」という構造変化が起こります。このことを「自己効力感が高まる」といいます。
簡単な問題だからできて当たり前と言ってはいけません。もし簡単だからできると言ってしまうと、「簡単な図形=できる、簡単ではない図形=できない」となってしまいます。あくまでも「図形=簡単」という意識の構造変化をさせるためにやっている作業なのです。お子さんは、これまでの過程で「図形=できない→面白くない→嫌い」という構造がしっかりと根付いているので、それを変えていきましょう。そしてボトムライン(絶対できる問題)がわかったら、徐々に引き上げていきます。すると「図形=できる」という意識を持っているので、挑戦する気持ちが出てきて、先に進める可能性が高まります。
コミュニケーションがうまくいかないということで、悩んでいる人はたくさんいますね。企業でも、家庭でも、学校でも。それにはある理由があるのです。たった1つの理由というわけではないでしょうが、筆者は次の理由が最も大きいと思っています。それは「話がほとんど伝わっていない」ということです。
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