あなたは、子どもの話をきちんと聞いていますか?話が終わらないうちに励ましたり、アドバイスしたりしていませんか?実は、その励ましやアドバイスこそが、子どもの心を閉ざし、親への不信感を育ててしまう元凶なのです。
共感の大切さを身をもって知った原体験
まず、私自身の経験をお話しします。私は長年小学校の教壇に立ってきましたが、あるとき担任していたクラスの子どもたちと人間関係がうまくいかなかったことがありました。そのときは、朝起きるのもつらく、当然学校に行くのもつらく、さらに何といっても自分の教室に行くのが本当につらかったです。「もう先生を辞めてしまいたい」と毎日思っていました。
そんな中、とある日曜日に、契約していた生命保険の外交員さんが何かの用事で私の家にやってきました。用事が終わって、私は自分の悩みを話し始めました。誰かに聞いてもらわずにはいられなかったのだと思います。
すると、その人は、「大変ですね」「それは苦しいですよね」「つらいですね」「イヤになっちゃいますね」と共感しながら聞いてくれました。「こうしたらどうですか?」などというアドバイスはひと言もありません。ただひたすら共感的に聞いてくれたのです。私はため込んでいたものを次から次へと吐き出して、気づいたら2時間も経っていました。そして、外交員さんが帰ってまた1人になったとき、自分の気持ちがすごく軽くなっていることに気づきました。
問題解決の方法が見つかったとか、そういうことではないのですが、心の中にあった重苦しくどんよりしたものがなくなって、元気が出てきたというか、「何とかなるかも。もうちょっと頑張ってみよう」という前向きな気持ちが湧いてきたのです。そして、私は「ああ、話を聞いてもらって、わかってもらうだけで、こんなに気持ちが楽になるんだ」と気づいたのです。これは、私が初めて共感の大切さを身をもって味わった原体験です。
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