JR九州を猛烈に突き動かした「逆境と屈辱感」 「本気になって何が悪い」著者の唐池会長語る

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――大阪出身の唐池さんも、これだけどっぷり九州につかったら、いまや完全なる九州人ですか?

いやあ、どうも違うみたいね。九州の人は九州のいいとこ悪いとこがあまりわからない。外から来た僕はわかりますもんね。九州を客観的に見られるからね。

――それじゃ、もしJR北海道の再建を託されたら、どうします?

新鉄客商売 本気になって何が悪い
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いやあ考えたことないけど、先ほどの競争原理からして北海道は難しいですよ。九州は7県ある。新しい観光列車を鹿児島に入れたとしましょう。すると他県がウチにもぜひと陳情に来られる。僕ら簡単にはOKしない。その列車をきちんと育ててください、応援してください、盛り上げてくれますか、いちばん熱心なところとやりますよ、と言うんです。

それに九州は鉄道にとって理想的な都市配置でもある。福岡150万人に、北九州、大分・別府、熊本、鹿児島、長崎と数十万人規模の都市が50キロメートルから100キロメートル単位でおるわけ。北海道は残念ながら基本的に札幌一極でしょ。

みんな本気で危機感を持ってやってきたから

――もともと九州が持っていた鉄道事業のポテンシャルを、地域密着のダイヤ再編成や鉄道へのデザイン性導入で引き出した。

もうダメだと思われた九州の鉄道は、JR発足時の1.4倍に拡大した。鉄道以外の事業も本気でやったから、売り上げ全体の60%と本州3社の30~40%に比べ圧倒的に高いね。それはみんな本気で危機感持ってやってきたからです。

私どもの中期経営計画のキャッチフレーズは、「優しくて力持ちの総合的なまちづくりの会社を目指す」。優しくてというのはお客様、地域の人、社員に対する愛と思いやり。力持ちは競争力のある強靭でへこたれない事業展開。いくら強くても愛がなければスーパーヒーローじゃない、とキン肉マンも歌っとります。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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