そうして定義した重視項目を、SPIの「職務適応性」(「人との折衝が多い」「集団を統率する」「人に気を配りサポートする」など14項目)に当てはめます。
学生の志向はどのように測定するのか。これには、SPIの枠組みを用いて開発した、自己分析ツール(現在の『リクナビ診断』)を活用。学生がリクナビ上でこの自己分析ツールを自由に使えるようにしました。この自己分析ツールでは、組織の特性を「変革と新たな価値の創造」「強い連帯感とチームワーク」など12項目に分類し、そのうちのどれに魅力を感じるかをSPIの枠組みを用いて測定します。
一人ひとりの学生が行った自己分析の履歴はまさにビッグデータです。これが企業の求める人材像に合致する学生を見つけるための材料になることを期待しました。
学生の組織の志向に関するデータを解析して、SPIの職務適応性との相関を分析した結果、たとえば、「予定外の事柄への対応が多い」という職務に適応性がある人は、「理想に向かう情熱と意欲」のある組織に魅力を感じるなど、いくつかの相関を見つけ出すことができたのです。
学生を引き付ける文章を科学的に作成
さらに、組織の志向にひもづいて学生が魅力に感じる言葉や文章表現なども、特定できるようになりました。
以前は、たとえば「協調性のある人材が欲しい」となると「和を大事にする会社です」とアピールするなど、“なんとなく”の感覚で広告の言葉を選ばざるをえなかったように思います。このサービスによって、求める人材がどんなメッセージを「魅力的に感じるか」を、科学的に設計することを実現できました。
ただ、その後現在に至るまで、AIやビッグデータを使った求める人材像の可視化とターゲティングの技術が劇的な進化を遂げたとは言えません。その要因は採用における”正解”がなかなか数値化できないからです。採用における正解とは何か。何をもって正解とするのか、またどのタイミングでの評価が適切なのか、特定することも難しいものです。
たとえば、入社から3年間ほどを追いかけて、活躍している状態の方の特徴を数値化し、それを基にターゲティングするのは現実的な打開策の1つになりうると思いますし、実際に着手している企業もあります。
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