それを醸成するプロセスを飛ばして現時点の正解を提示することは、瞬間的なマッチングは生み出せても、その後のよりよい関係づくりにはむしろマイナスに働いてしまう可能性があると実感しているからです。
また前述したように、就職・採用の現場において、「何が正解か」の議論はまだまだ積み重ねる必要が大いにあります。AIは正解をしっかりと人間が教えることによって初めて正解を判断できるもの。何が正解かがあいまいなままで何らかの判断をさせ、その判断の責任を機械が負うというのは、AIの使い方として大いに矛盾すると感じています。
一方で、人間が能力と時間の限界から見落としてしまった人材を、もれなくきちんと拾い上げることは、AIだからこそできることです。
採用の正解を出すのはAIに頼らない
今後は、「何をもって『活躍した』といえるのか」「『活躍している』ことをどうやって測定するのか」というところの研究を進めるとともに、「採用根拠の可視化」をAIで実現できないかと考えています。
採用・就職の場においては、企業と学生が互いに納得したうえで、学生が「この会社で働く」と決める過程があるからこそ、入社後、生き生きと働くことができるのだと思います。
ところが、現状は前述のとおり、活躍の基準を明確にするのは難しい。「この大学の出身者ならたぶん大丈夫な気がする」「活躍している社員になんとなく似ている」など、ある意味で消極的な理由で採用・不採用を決定している企業が少なくない。そのため企業と学生の間での納得感が十分に形成されていないのではないでしょうか。
「こういう理由でこの学生は採用された」ということがもし数値化できれば、こうした状況を突破できるのではないか。企業と学生の納得感が増し、より生き生きと社会で活躍できるのではないか。そのためまずは組織として動いているはずの企業側について、「この学生を採用したのは、会社のこういう事業戦略にこんなふうに合致していたから」と構造的に説明できるようにし、それを何らかの数字で示すことを実現したい。と思っております。
もちろん大前提として、「正解とは何か」「正解データとは何か」を企業ごとにさらに議論し尽くすことが必須です。そのサポートとしてできることを考えつつ、納得までのプロセスをいかにして補助していくか、引き続き研究に邁進していきます。
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