インスタに思わず出るあなたの「精神状態」 何気なく投稿しているかもしれないが…

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一方、健康的なユーザーがよく使っているのは写真を明るく見せる「Valencia(バレンシア)」というフィルターだ。

またうつ状態にあるユーザーは、ひとりの人の顔が映っている写真を投稿する傾向が高かったが、健康的なユーザーが人の顔が映っている写真を投稿する際には、平均的に複数の人の場合が多かった。

「いいね!」が多いのは健康的な人の投稿

研究はインスタグラム上での写真の投稿に限ったものだが、リースとダンフォースは今回の結果によって彼らの研究技術の可能性が示されたと主張している。

ダンフォースは対象者を選別するためふるいにかけたことを強調し、「(対象となったのは)わずか数百人だが、彼らはとても特別だ」と言う。

調査対象は、複数の基準を満たしている参加者に限られた。まず、研究者らが対象者を探す際によく利用する有料のクラウドソーシングプラットフォーム「アマゾンメカニカルターク」の登録者であり、頻繁に活動していて評価が高いこと。さらにインスタグラムを頻繁に利用していて、過去のすべての投稿を提供すること。そして最後に、うつ病と診断された過去があるかどうかを明らかにすることを条件とした。

返答があった数百人の中からリースらは166人を採用。うつ病歴があったのはそのうちの71人だ。そして計約4万4000枚の写真を分析した。

リースらはその後、ソフトウエアを使ってすべての写真の色彩、彩度、明るさ、映っている人の顔の数を分析。また各ユーザーの投稿写真数やそれぞれの投稿のコメント数、「いいね!」の数を調べた。

機械学習ツールによってリースらが発見したのは、コメントが多く寄せられた投稿はうつ状態にあるユーザーのものであることが多かったが、「いいね!」が多く寄せられたのは健康的なユーザーの写真である場合が多かった。

またうつ状態にあるユーザーは健康的なユーザーよりも投稿の頻度が高いこともわかった。

リースとダンフォースは、今回の結果がすべてのインスタグラムユーザーに当てはまるものではないとしながらも、同様の機械学習モデルが将来的にはメンタルヘルスの検査の実施や強化に役立つ可能性があることを示していると主張する。

「われわれは人の行動に関する多くのことを明らかにしている」とダンフォースは言う。「そして、考えるよりもはるかに予見可能だ」

(執筆:Niraj Chokshi記者、翻訳:中丸碧)
©2017 The New York Times News Services 

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