新日鉄住金、事業再編で自動車向け拍車 日鉄住金鋼管が誕生、鋼板に続き大攻勢

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国内生産拠点の最適化も進む

インドでの自動車用鋼管事業も一貫製造体制が整った

電縫管では、国内首位・丸一鋼管というライバルの存在もある。JFEの母材を使い、低コストを武器に建材部門で高いシェアを誇っている。丸一鋼管が海外展開していく中では自動車用鋼管に狙いを定めており、住友鋼管と激突する状況にあった。新日鉄住金グループとしては鋼管事業の海外展開を急ぐ意味でも、資本と運営のねじれを解消する必要があった。

もちろん、国内各地に散らばる生産拠点の一体運営も進める。住友鋼管は鹿島、和歌山、大阪に拠点があり、日鉄鋼管は名古屋や川崎などに工場がある。それぞれ、顧客によっては距離もあり輸送コストがかさんでいたものもあった。今後は自動車メーカーなどの顧客に近い工場からの供給に変えていく。

たとえば住友鋼管では、ホンダ向けの比率が高く、同社の好不調に左右される面もあった。統合新会社では、旧住友金属が取引ゼロだった日産自動車も含め日本のすべての自動車メーカーが顧客となる。海外での供給体制もさらに進んでいきそうだ。

新日鉄住金が旧新日鉄と旧住友金属の統合によって誕生したのは2012年10月。電縫鋼管事業の統合はそれからようやく1年を経て実現する。ただ、同じ鋼管でも、継ぎ目のないシームレス鋼管事業の再編はまだ先になる。この分野については和歌山製鉄所など旧住友金属系が圧倒的だが、旧新日鉄側も東京製造所で生産している。鋼管事業以外の分野でも、新日鉄住金には旧2社がそれぞれ傘下に置いてきたグループ会社が残っている。

新日鉄住金の足元の業績改善は顕著だ。円安により輸出採算が改善、国内でも輸入材の減少や、競合他社における火災事故、電炉材のコスト上昇などにより鋼板需給が改善するほか、在庫評価益も発生する。資産圧縮を進めていることから、株の売却益も膨らむ。今2014年3月期の通期でも、大幅な利益回復が望めそうだ。

それでも、鉄鋼業界の国際競争は激化する一方だ。統合効果の実現に向け、グループ再編の動きは止まりそうにない。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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