新日鉄住金、事業再編で自動車向け拍車 日鉄住金鋼管が誕生、鋼板に続き大攻勢
新日鉄住金は8月29日、グループ内の電縫鋼管事業の再編を発表した。鋼管にはさまざまな種類があるが、電縫鋼管とは、鋼板を筒のように丸めて継ぎ目を溶接したもので、自動車向けや建材向けなど産業用途に幅広く使われている。
新日鉄住金は10月1日に子会社の住友鋼管と日鉄鋼管を合併させ、日鉄住金鋼管(住友鋼管が存続会社)をスタートさせる。海外における同事業も来年1月に日鉄住金鋼管に移管する。さらに、来年4月をメドに、新日鉄住金と日鉄住金鋼管の間で販売品種の移管を進める予定だ。
グループ内で錯綜していた鋼管事業がすっきり
住友鋼管の2012年度の売上高は555億円、日鉄鋼管は同329億円。旧住友金属グループの住友鋼管は自動車向けに高い売り上げ実績がある一方、旧新日鉄グループでは新日鉄本体が自動車用を直接手掛け、タイやメキシコ、ベトナムなどの海外展開は原則として新日鉄本体から出資するなど、電縫鋼管事業の分類は複雑だった。
今回、新日鉄住金本体が出資している海外事業については新会社の日鉄住金鋼管に移管される一方、自動車用などの中でも新規開発の部材などについては新日鉄住金本体の管轄となる。新日鉄住金でグループの鋼管事業を統括する川端廣己・執行役員鋼管事業部長は、「5万トンを新会社に移し、3万トンを本体に戻すイメージ」と説明する。新会社の規模は、海外事業を加算すると年商1200億円の規模になる。
電縫鋼管事業の統合は、旧新日鉄と旧住友金属の合併前から話があった。両社の間では、本体どうしの合併前からすでに提携関係にあったことから、ステンレスや建材事業では子会社の合併も進んでいた。それでも電縫鋼管の再編に時間がかかったのは、前述のように新日鉄側と住友金属側で自動車用鋼管の担当が異なっていたため。このため、単純に合併するだけでは済まなかった。
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