新日鉄住金が「打倒ポスコ」へ生産体制再編 統合後初の中計発表、高炉や圧延など複数設備休止へ

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裏テーマは「打倒ポスコ」。市場関係者から、そう囁かれていた注目の新日鉄住金の中期計画が発表された。3年後の数値目標はなかったものの、高炉の休止を筆頭に下工程も大胆に再編するなどコスト面に踏みこんだ内容となった。統合で規模では上回ったポスコを利益でも上回ろうという意気込みが見えるものだった。

新日鉄住金が13日に発表した2013年度から15年度の中期経営計画。アジアの複数メーカーが、中国を中心とした東アジアで製鉄所の稼働を予定し需給の悪化が見込まれる中、生産性の改善や経営統合によるコスト削減によって国際競争力を高め、利益水準の向上を目指すものだ。

高炉など上工程だけでなく圧延など下工程の関連設備の休止も含めた生産体制の再編を柱の1つにすえた。インパクトの大きい高炉については君津製鉄所(千葉県君津市)の高炉3基のうち1基(第3高炉)を15年度末に休止する。稼働準備中だった和歌山製鉄所(和歌山市)の新高炉(新第2高炉)は操業開始を延期する。市場関係者の中には、規模が小さく生産性の低い高炉を止めるのではとの観測もあり、炉内容積2150立方メートルの小倉2号高炉などが有力視されていたが、休止が決まったのは炉内容積4822立方メートルと大規模な君津第3高炉だった。

君津第3高炉が選ばれた理由

君津製鉄所では、グループで唯一3基の高炉が稼働中。その役割は2つある。1つは君津製鉄所で製造する薄板や厚板、線材、鋼管各工場に母材を供給すること。もう1つは、釜石や堺など高炉を休止した製鉄所に母材を供給する役割だった。ただ、統合によって、他の製鉄所からも十分供給できるようになり、「君津からほかの製鉄所に持って行く分はそんなに必要ない」(友野宏社長)状況が生まれていた。今後、君津で使用する分も、2基体制で生産量が足りなくなる場合は、近隣の鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)から供給を受けることになりそうだ。

また、今回の中期計画では、高炉など上工程だけでなく、冷延や表面処理など下工程を14ラインで休止、2ラインでシフトダウンを決めた。具体的には旧住金系で鹿島製鉄所で薄板の酸洗、冷延、連続焼鈍、表面処理(めっき)など6ラインを休止。和歌山製鉄所で酸洗、冷延、表面処理(めっき)、連続焼鈍など4ラインを休止。旧新日鉄系で名古屋製鉄所(愛知県東海市)で表面処理(めっき)の2ライン、君津製鉄所で連続焼鈍1ラインのほか、鍛接鋼管1ラインの休止も決めた。ほかに造船向けが低迷する厚板で鹿島と君津の圧延のシフトダウンを決めた。これを13年度から14年度にかけて実施していくことになる。

売上高や営業利益などの具体的な数値目標は計画に盛り込まれなかったが、15年度までにROS(売上高経常利益率)5%を達成し、将来的に10%を目指す方針が示された。並行して、DEレシオ1.0倍の実現により、低下している格付の向上を目指すことが改めて強調された。

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