新日鉄住金が発足、1000人の社員を前にトップ2人が厳しい環境を強調
鉄鋼国内首位の新日本製鉄と同3位の住友金属工業が10月1日、合併し、新会社新日鉄住金(正式社名「新日鐵住金」)が発足した。世界における粗鋼生産量はアセロール・ミタル(ルクセンブルク)に次ぐ2位となる。
同社は1日午前、東京・丸の内の新本社(前・新日鉄本社)で、社名プレートの除幕式を開催。続いて、宗岡正二・会長兼最高経営責任者(CEO)=前新日鉄社長=と友野宏・社長兼最高執行責任者(COO)=前住友金属社長=が、役員や約1000人の社員を前に訓示を述べた。新日鉄の前会長である三村明夫・相談役と並び、今井敬・前新日鉄名誉会長や下妻博・前住友金属会長らも顔をそろえた。
足元では、中国や韓国を中心とした海外競合メーカーの能力拡張などを受けて、製品の需給ギャップが拡大、鋼材市況は低迷している。まず、先に壇上に立った宗岡正二・会長兼CEOは、「統合によってバラ色の未来が約束されているような状況ではない」「新会社発足の初日ではあるが、足元のたいへん厳しい経営環境の認識を、皆さん全員と共有することからスタートしたい」とコメント。「コスト競争力の強化」、「技術先進性の発揮」、「鉄鋼事業のグローバル展開」、「製鉄以外の分野での事業基盤の強化」を4つの施策として掲げ、「(これらを実行することで)「総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカーとして、われわれは必ずやこの厳しい国際競争に勝ち残っていけると確信している」と抱負を語った。
続いて、友野宏・社長兼COOが登壇。製鉄所の合い言葉である「ご安全に」と会場に声をかけると、1000人の「ご安全に」が返ってきた。「今日から皆さんは、新しい仲間と新しい仕事の仕方で、価値創造に取り組んでいただくことになる」「『Best for the New Company』を判断の規範として、課題に取り組んでいただきたい」と社員に呼びかけた。顧客第一で強いところをより強くして成長すること、「宝の山」という現場を重視し、「宝を掘り出し、思う存分腕をふるってください」と話した。また、変革と実行をスピーディに繰り返し日々進化させること、さらに安全と健康とコンプライアンスの重要性を訴えた。その上で、「世界17カ国で活躍する約8万4千人の新日鉄住金グループの全従業員と、グループを支えていただいているすべてのひとと一丸となり、総合力世界ナンバーワンを目指して前に進みたい」と、新会社の運営に当たっての決意を述べた。
新日鉄も住金も合併直前の12年4~9月期決算を1000億円を超す赤字で終えるなど、まさに逆風下の船出となった。新会社は、円高もありアジア勢に劣っている汎用材などのコスト競争力を取り戻すべく統合効果の実を上げ、さらなるグローバル展開を積極化させていくことになりそうだ。
■1000人の社員の前で話す宗岡新会長兼CEO
(小河 真与 撮影:梅谷秀司 =東洋経済オンライン)
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