新日鉄住金が「打倒ポスコ」へ生産体制再編 統合後初の中計発表、高炉や圧延など複数設備休止へ

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雇用については万全を期す

――君津製鉄所の高炉休止によって余剰人員はどれくらい出て、その方たちはどうシフトするのか。

会見後に記者陣に囲まれる友野社長

友野社長 余剰というのは失礼かもしれないが、溶鉱炉には港から溶銑を運び出すところまで、膨大な範囲の仕事がある。こういった中でまず異動していただいて吸収していく。定年退職の方なども出るだろうし、どうしても当てはまらない方は、ほかの職場に移っていただく。雇用については万全を期す。いろんな場合が出てくるので、これから検討し、組合などとも話し合って決めていく。

――関連企業の業務量はどうなるのか?

友野社長 関連企業へのインパクトはある。ひとつの職場に社員と協力会社の方がいるわけなので、両方に影響がある。

―和歌山製鉄所の新高炉稼働を「当面」延期する、とはいつまでを指すのか。

友野社長 足元全体の量を見た結果、まだスイッチするのは早いと考えている。和歌山製鉄所の新高炉は既存の高炉とまったくツイン(同じ形)なので、操業すると、コスト競争力が出てくる。ただ、容積も大きくした後であり、大きな高炉を低い出銑比で炊くのは効率がよくない。答えとしては「需要次第」となる。

――圧延設備の休止が予定されているが、これは、各製鉄所内の生産集約なのか、ほかの製鉄所にシフトして効率を上げるのか。また、どういった両社の技術があって、こうしたことができるのか。

友野社長 ほとんどの場合、製鉄所を越えて、という整理の仕方になる。なぜできるのかというと、それぞれの個社では、設備やパテントの縛りがあったのが、統合によってそうした制約が外れるからだ。

――製鉄所同士の特徴付けは出てくるのか?

友野社長 製品の特徴、立地の特徴などが出てくる。また機械の特性もある。統合によって組み合わせのオプションは増えた。

――君津製鉄所のほかに、名古屋(第3高炉)や君津(第4高炉)、室蘭(第2高炉)などで、高炉の改修時期を迎えようとしている。改修や投資などのイメージはどうか。

友野社長 私自身は、高炉の寿命という概念は消えつつあると思っている。メンテナンスの技術も操業の技術も進歩している。一番最後に残るのが露天のカーボンれんがでこれが薄くなるとさすがにきついが、これも温度コントロールしながら持たせることができるし、ほとんどの部品は交換できる。経営としてベストのタイミングを寿命といえる。経営的にベストなタイミングでスイッチ、改修していく。

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