一方で、つながりが増えることは「その場に合わせなくてはいけない」「場をみだしてはいけない」という空気もより多く働くようになるということ。SNSで投稿したら即レス(すぐ返信すること)をしないと「感じが悪い奴だ」と叩かれることもありうる。うわさ話も多く、「日曜に渋谷で知らない子と歩いていたね」などと個人情報がすぐに知れ渡るリスクもあるからだ。
その結果、「過剰に気遣う」「空気を読む」ことが、基本動作になっているわけだ。
「もっとも、そうした警戒心の強さからくる過剰な気遣いは、若者世代は同世代に対してこそ強い。SNSでもつながっているのは、やはり圧倒的に同世代ですからね。結果としてやたらと同世代とのつながりは積極的になる。裏を返すと、それ以外のつながりが弱いコミュニティ、上司世代との上下関係にまで気が回らず、結果的に希薄になってしまうのです」(原田さん)
こうした現代ならではの事情があるとはいえ、上司世代に「高いカベがある世代」と思われるのはもったいない。
バブル世代は前向きに「どんどんやりなよ!」
というのも、上司世代にあたる今の40代後半から50代前半。とくにバブル世代と呼ばれる1965年~1970年生まれの人たちは、「みんな同じじゃなければダメだ」という同調圧力よりも「いいじゃん、どんどんやりなよ!」という、オープンで前向きなマインドを持っている人がどの世代よりも多いからだ。
「彼らは日本が経済的に文化的にもぐんぐん伸びているときに社会人デビューを果たした世代。だからメンタリティがやたらとポジティブで、何でもできる! という“万能感”を持った人が多い。だから、他人に対しても『こうしたい』『ああしたい』という意見を『いいじゃん!』『やれるよ!』と手放しに応援する気質があります」(原田さん)。
少しバブル世代とはズレるが、日本ハムファイターズの栗山英樹監督などは象徴的だという。大谷翔平選手が「ピッチャーもバッターもやりたい!」といえば「いいじゃん、翔平。二刀流やっちゃおうよ!」とヨコから目線で、無邪気に後押ししてくれる。
「これが野村克也監督なら『いいから、投手一本でいけ!』と押さえつけちゃいますからね(笑)。このあたりの世代とは雲泥の差があります」(原田さん)。
そう考えると、ことバブル世代くらいの上司、先輩に対しては、やたらとカベなど作らずにオープンに接するのが良さそうだ。雑談でも「こういうことに挑戦したい」「こんな夢を持っている」と前向きさをアピールしたほうが、「いいね!」「いいね!」と盛り上がってくれるに違いない。
「『インスタって何がおもしろいの?』と聞いてもピンと来ない。あのあたりの若者文化をもう少しわかりやすく教えてほしい」(サービス業・45歳)。
「『キングダム』とか『東京喰種(トーキョーグール)』とか、彼らに人気のマンガや音楽について聞いてみたいのだが……」(商社・49歳)。
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