若手世代の「交際相手がいない」ことも上司世代との“ズレ”の1つになっているようだ。明治安田生命が2016年に実施した調査によると、交際経験がない割合は20代未婚男性で53%。3年前は30%だったが、かなり上昇している。だから「彼氏、彼女ってものはさ……」とか「初デートのときはさ……」といった、「恋愛あるある」も、テッパンのあるあるネタとはいえない。
では、上司世代がそんなことを知らぬまま、「あるあるネタ」を繰り出してきたら、どう対応すればいいのか?
ムリに「そうなんですよ」などと同意する必要はない。むしろ「あるある」とならない価値観の違いを正直に話して、逆に上司世代の興味を引かせて「おもしろがらせる」作戦が有効のようだ。
「先に述べたように、今の上司世代は新しいもの好きで、フランクですからね。たとえば『実家暮らしで、母親や父親と仲がいい』『お酒を飲まない』なんていう話も、変に構えずオープンに話せば、『え、お母さんってどんな人なの?』『お酒飲まないでも盛り上がれるのっていいねえ』と、むしろ興味を持って聞いてくれる人が多いはず。雑談としては十分盛り上がることができます」(原田さん)。
「知らないので教えてください!」と返すが吉
また、「あるあるネタ」をしたそうに話をふってきた上司には、「知らないので教えてください!」というスタンスで、乗っかるカタチで質問するのもいいだろう。
「じゃあ、洗い物って、まとめて週末などにしていたんですか?」
「お酒の失敗って、若いときのほうがあるものなんですかね?」
「『キャプテン』って、谷口と丸井のほかに誰がいたんですか? え、イガラシ? コンドウ? そんなに続くんですか?」
といった具合だ。先輩は年下に頼られて、悪い気はしないはず。あたかもキャプテンを慕う後輩部員のように、うまいこと盛り上げていただきたい。
「業務外の話題になると、突然寡黙になる」(金融・42歳)。
「同期や年が近い同僚とはよく話すが、若手社員は自分たちとは腹を割って話してくれない気がする。ハラスメント教育や飲みニケーション不要論ばかり聞かされて、こちらがビクビクしているのもあるが……」(IT・41歳)。
わざとなのか、無意識なのか、世代のカベを自ら築き、こちらに心をひらいてこないように見える。それも上司世代を戸惑わせるポイントのようだ。
「そのカベの裏にあるのは、若手世代が『過剰な気遣い』をするクセがついていることがあるのではないでしょうか」(原田さん)
今の若手社員世代は中高生の頃から携帯電話を持ち始めた世代。学生の頃から、自然にSNSで友だちと24時間つながり続けることが、当たり前となっている。だから驚くほど広範囲なコミュニティを持つのが特徴だ。
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