料理番組の歴史は、料理文化史そのものだ

長い「グルメブーム」は何をもたらしたか

私は現在、「きょうの料理」の番組テキスト(NHK出版)で60年にわたる番組とテキストの歴史を紹介する連載を執筆している。いかにこの番組が柔軟に時代の変化を読み取り、流行を先導したかを実感している。

イタリア料理は流行より10年も早く、78年3月以降、ときどき紹介されている。常備菜にしたり、肉や魚介類を入れた主菜にもなる、今流行りのサラダは、83年10月の放送で「おかずサラダ」として紹介されている。放送なしのテキストオリジナル企画も入れると、最初は同年3月号の「軽食になるサラダ」特集だ。

「きょうの料理」が伝えたプロ料理人の技

番組には、創成期からプロの一流料理人が出演している。東京會舘のフランス料理シェフ、田中徳三郎が最初に登場したのは59年10月である。その後、帝国ホテルの村上信夫、ホテルオークラの小野正吉が続く。日本料理では辻嘉一、中国料理は陳建民が初期の代表格だろう。

昭和半ばから後半にかけて、シェフらが繰り返し伝えたのが、フランス料理のホワイトソース(ベシャメルソース)の作り方である。小麦粉とバター、牛乳をフライパンなどでかき混ぜながら作るホワイトソースは、家庭でも真似しやすく食べやすいが、ダマになるなどの失敗も多い。クリームシチューやクリームコロッケなどの材料になるこのソースを作りたいと願った主婦の多さが、登場回数の多さから推測できる。

1968年4/5月号から4カ月ずつ連続で行われた「日本料理の基礎」「中国料理の基礎」「西洋料理の基礎」特集は、74年からの「料理入門」、83年からの「プロのコツ」などのシリーズに発展し、プロの技が繰り返し紹介される。

グルメブーム初期には、さらに内容が高度化する。78年10月には「家庭むきの懐石料理」、80年1月には「フランス料理の基本ソース」、同年11月には「やさしい懐石料理」が特集される。気軽に食べに行けない店の味は、テレビで見て想像する、あるいは作ってみる人たちがいたのである。70年代後半から80年代前半は、本格的な外国料理や日本料理のレシピ本が盛んに出版されており、エンターテインメントとしての料理が成立した時期でもある。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。