料理番組の歴史は、料理文化史そのものだ

長い「グルメブーム」は何をもたらしたか

旅、トーク、物語……。さまざまな要素を含んだ番組のなかに料理の作り方がある。バラエティ要素を含む料理番組が増えるきっかけを作ったのはおそらく、1993~99年に放送された「料理の鉄人」(フジ)ではないだろうか。

もちろん、それまでにも1975~92年に放送された日本最初の料理バラエティ番組「料理天国」(TBS)や、カナダから輸入したコメディショー的な料理番組「世界の料理ショー」(テレ東)などもあった。

しかし、「料理の鉄人」は、グルメブームの渦中に放送され流行を加速させたこと、料理人の地位を引き上げタレント化させたことなど、社会にも影響を与えた。何より、料理という素材の可能性を広げた点で他と一線を画する。料理対決というバラエティのジャンルを開拓したのである。

長いグルメブームは何をもたらしたか

グルメブームについては説明が必要だろう。きっかけは、ヨーロッパで修業してきた日本人シェフが、1980年前後に次々と本場の技を持ち帰り、やがて自らの店を持ったことである。「KIHACHI」の熊谷喜八、「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國清三、「アルポルト」の片岡護などがその代表格である。

街場のレストランでフランス料理やイタリア料理を食べられるようになった結果、食べ歩きをする人たちが現れ、グルメブームが始まった。

1980年代は、ファミリーレストランのチェーン店が全国に広がった時期でもある。大量生産の手法で価格を抑えたレストランに、子連れで気軽に行ける。同じ頃、本格的な中華料理の店も増えた。外食が日常化した時代である。

1983年、グルメマンガ『美味しんぼ』の連載が青年漫画誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で始まり、マンガの登場人物を真似して食を語る若者が増える。そしてバブル到来。フランス料理店やイタリア料理店などへ行くのは、特別な人だけではなくなった。

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