進路を自分で選ばせることで、子供に責任感が生じる
もうひとりは私がその大ファンでもある、エレキギタリストの寺内タケシさんです。彼がエレキを弾き始めた頃は、エレキを弾いたり聴いたりするだけで不良呼ばわりされた時代でした。私の高校では、ビートルズを聴くだけで不良扱いを受けた時代です。エレキに夢中で、実業家の父親から9回も勘当された話は有名です。頼むから勉強してくれと懇願されても、この道一筋に精進したと話されていました。
「弾かないギターは鳴らない」が座右の銘だという彼の、映画『ひまわり』のテーマ曲を初めて聴いたときは、本当にうっとりと聴き入り、そして涙が出るほど感動しました。これがあの不良扱いされていた音楽? 一方的な価値観の押し付けで、長く彼の音楽を聴かなかったことを後悔しました。
小説家やミュージシャン、俳優やタレントで、親の同意や援助が得られず苦節何十年で世に出た人を私たちはたくさん知っています。逆に親の言いなりになったり、家庭の事情で不本意な人生を歩んだ人の話もよく聞きます。前者の場合、長い目でみれば必ずしも親不幸とは限らず、たとえ大成しなくとも、後者ほど不平不満を聞かないのは、少なくとも本人が自ら選んだ道だったということで、責任が取れているからではないでしょうか。
職業の選択に親が介入すると、大抵失敗に終わる
私の知人に、名門の工業専門大学を出てNTTに勤めた後、親の反対を押して小さな農家を継いだ人がいます。「“鶏口となるも牛後になるなかれ”を実践している感覚で、生きている実感がしている」と収入の激減も何のその、その選択に今も後悔はしていないそうです。
「文学でメシは食えない」と親に猛反対されても自分の信念を貫いた友人は、大企業に勤めた人の多くが定年退職後、第2の人生の過ごし方に逡巡している中、ライフワークとなる研究会活動をいくつも持ち、とても充実した人生を送っています。
親世代とは異なり、大企業といえどもリストラは当たり前になり、安泰ではなくなりました。I T産業などでは、想像もできなかった職種が創造され、生き生きと活躍する若者のニュースにもこと欠かない時代です。親の旧態依然とした価値観を子供に押し付けるのは、どの角度から考えても分が悪そうです。
※ ミセス・パンプキンさんへの相談はこちら
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