親の価値観の押し付けが、子供の人生を潰す

太った豚より、やせたソクラテス

 グローバル化が進む中、親たちは、子供を世界で通用するエリートに育てるため、日々、努力を重ねている。しかし、若手マザーの中には、子育ての仕方がわからず、周りの助言にも恵まれないケースも多い。そこで、一般的な家庭ながら、子供を国際弁護士、国際金融マン、海外著名大学教員、公認会計士に育て上げた著者が、読者の皆様からの子育て相談に回答する。

 

今回は、子供の将来の経済的な安定を第一に願う親と、それに反発を感じる子供という、どこにでもある価値観の衝突について考えたいと思います。

【東京工業大学大学院 Kさんの寄稿文】
 私の両親は「安定した生活を送ることこそ幸せにつながる」と考えていると感じます。父は大学卒業以来、公務員として働き、母は専業主婦で裕福とは言えないものの、しっかり子どもたちを養い、安定した生活を実現してくれました。
 もちろん私もそのことには感謝していますが、両親は息子である私にも自分たちと同じような人生を歩んでほしいと考えているらしく、そのためには名の通った大企業で働く必要があり、そのような企業で働くには有名大学に進学する必要があると考え、私を私立の中高一貫校に進学させるなど、教育にも非常に熱心でした。
 このような考えの両親の前で、以前、「就職先の経営規模にはこだわらず、自分のやりたいことを手掛けている企業に就職する」と話したところ、たいへん反発を受けました。
 親として確固たる考えの下に子育てを行うことはすばらしいことですが、それが子供に自分の価値観を押し付けることにつながるのはよくないと思います。たとえ子供が自分の価値観とまったく違うものを持っていたとしても、頭ごなしに反対するのではなく、なぜ、そのように考えるのかと聞く耳を持ってほしいのです。子供の人生は子供のものであり、決して親のものではないということを肝に銘じて、子育てをしてほしいと思います。

 

<ミセス・パンプキンからのコメント>

「太った豚より、やせたソクラテスに」が意味するもの

今から半世紀ほど前、東大の総長が卒業式で「太った豚になるよりは、やせたソクラテスになれ」という言葉を卒業生に贈り、たいへん話題になったことがありました。もともとは西洋の哲学者の言葉らしいですが、「金銭的に豊かな生活を求めて、やりたいことや信念を捨てて安穏とぜいたくに生きるよりは、生活に困窮しても、信念を貫いて生きるほうが人間らしい生き方だ」という意味だそうです。

高校生だった私の周辺でもいろんな形で話題になりましたので、今なら流行語大賞になったこと間違いありません。今ほど大学進学率は高くなく、信念を捨てても、太った豚になるには、今よりずっと難しかった時代に、巷に流行した言葉となりました。

「鶏口となるも牛後になるなかれ」という中国の故事も思い浮かびました。「大きな組織の中の末端で使い走りのような仕事をするよりは、小さな組織のトップのほうが、やりがいのある仕事ができる」という意味だと思います。

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