中央線沿いの古いアパートで一人暮らし。大学院までは学費と月10万円ほどの生活費の援助を受けていたが、帰国をきっかけに親との関係を断ち切って生活保護を選択したという。母親が過保護、過干渉の毒親で精神病の原因になっているようだった。
「大学院時代も体調は悪かったですが、日本に帰って親元で暮らしたらたぶん死ぬと思いました。保健師さんに相談して、生活保護の道があるって教えてもらいました。受給は昨年10月から。甘えていると思ったことはないです。ただ精神的に不安定な生活は不安ばかり、だからなんとか社会復帰したい。働こうと1歩を踏みだして失敗しましたが、あきらめないで頑張るつもりです」
2年間、寝たきりの生活
昨年10月、日本に戻って生活保護を受けた高坂さんは、厳しい生活を送っていた。うつ病の症状は重度で、体調が悪くなるとカラダはまったく動かなくなる。何もできない。
「昨年と一昨年は、すごくしんどかった。ベットから出ることができない生活でした。大学院時代の後半からそんな感じで、2年間くらいは大げさではなく、寝たきりみたいな生活だったかもしれません」
症状が出るとつねに倦怠感がつきまとい、カラダは動かない。何もすることができない。ベッドの中で何十時間もじっとしている。心の中は死にたい、死ななきゃならないという気持ちでいっぱいになり、時間ばかりが過ぎていく。
「悪化する理由はわかりません。わかっていたら治っています。頭の中はひたすら“しんどい、しんどい、しんどい”か“死にたい、死にたい、死にたい”という状態で、お風呂にも入れません。昨年、1カ月間まったくお風呂に入らない時期もありました。でも、食べなかったら本当に死んでしまいます。前兆があって、その状態になるのはわかっているので、食料を買い込んでベットの横に置いて、餓死しないように準備しておくんです」
ベッドの横にバナナやチョコ、ナッツを置く。体調が悪くなると食欲がなくなり、空腹で食べるしかないという状態になるまで動かない。限界が近くなったとき、気力を振り絞って横にある食料を口に運ぶ。
「絶食みたいな状態は2日間くらいが限界です。だから体調が悪くなると頭痛がしたり、吐き気がしたり、死にたい気持ちと格闘してフラフラになる。死にたい、死ななきゃならないって指令が脳からくる。薬を飲んでもよくはなりません。気持ちの浮き沈みが激しいと本当にもたないので、普段からうれしいことがあってもあまり喜ばないとか、気持ちをコントロールするようにしています」
症状が特にひどかった昨年は、一度も笑った記憶はないという。貧困を超えた深刻な状態だが、超高学歴の彼女はどうしてそうなってしまったのか。
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