ブリヂストンが「滑らないタイヤ」で狙う先 なぜ今夏は冬用タイヤが次々発表されるのか
30度を超す真夏日も多かった6~7月、タイヤメーカーが相次いで発表したのは路面凍結時でも走れる冬用のスタッドレスタイヤだった。昨年、冬用タイヤでニューモデルを発表したのは住友ゴム(ダンロップ)の「ウインターマックス ゼロツー」くらい。今年は一転して、メーカー各社が続々と新商品を発表している。
6月には仏ミシュランが「エックスアイス スリープラス」、そして米グッドイヤーが「アイスナビ 7」を発表。7月には横浜ゴムが「アイスガード シックス」を発表した。そして7月20日、4年ぶりに新商品を発表したのがタイヤシェア国内首位のブリヂストンだ。
ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック」シリーズは、北海道や北東北では2台に1台が履いているといわれるほどの高いシェアを誇る。1988年のシリーズ展開以来、全世界累計出荷本数は2億5000万本に及ぶ。
今回発表された新モデル「ブリザック VRX2」は氷上でのブレーキの効きに加え、タイヤの寿命を表す摩耗ライフ、静粛性が前モデル「VRX」(2013年発売)に比べて大幅に向上したという。
独自の「発泡ゴム」に磨きをかけた
ブリヂストンのスタッドレスタイヤの強みは独自技術の発泡ゴムにある。タイヤが滑るのは凍った路面にできる水膜が原因だ。これをゴム内の気泡と太い水路(タイヤの溝)で取り除く。
さらに独自の超微細技術を用いて、水と相性のいいシリカ剤を配合。氷の上でもしっかりと接地しブレーキ性能を高めている。
日本は冬になると路面が氷点下近くとなる地域が多く、頻繁に路面が凍結する。凍結した路面では、鋲(びょう)のあるスパイクタイヤのほうが滑りにくさで勝る。ただ乾いた路面にスパイクタイヤが走ると、路面が削られ粉塵が飛び散るため、日本では1990年に製造が中止になり、1991年からは販売も中止された。いまは救急車など一部特殊車両の使用しか許されていない。
鋲のないスタッドレスタイヤは、当然、スパイクに比べブレーキの効きは弱い。その差をどう縮めるか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら