東京の名門校「武蔵」の生徒はムダから学ぶ 岩石薄片をひたすら削るだけの授業の意味

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理科の博士号も持っている川手教諭が「なぜ?」を畳みかける(写真は筆者撮影)

知識よりも科学実験の作法を学ぶことが大事

「80番の研磨はどうなるまでやるのが基準でしたっけ? 全体がざらざらになるまでだったよね。80番が終わったら、次、320番に行くんですけど、鉄板に付いている研磨剤は一度きれいに洗い流してください。80番の粉が残っていると、せっかく320番で磨いても、傷がついちゃいますからね。完全に洗い流してください。320番の基準は何でしたっけ?」

「滑らか!」

「全体が滑らかになることでしたよね。その次は1000番の研磨をします。1000番の研磨から、鉄板ではなくてガラス板の上で行います。ガラス板は水をかけて洗ったら、拭く必要はありません。濡れたまま1000番の研磨剤を振りかけて、ここにあるメノウで、研磨剤を全体にならしてください」

1000番の研磨の基準は、表面が全体に輝いて、蛍光灯に照らすと、表面に反射した蛍光灯の本数が確認できるくらいまで削ることだ。さらに2000番。表面で反射して、 外の景色が見えるくらいまで滑らかに仕上げる。

「窓際に持っていって外の光を反射させると、木の緑が映ります。端から端まできれいに見えたら、2000番OKです。ここでちょっと注意です。320番までは、岩石チップの表面を確認するときに、研磨剤を洗い流してから、ぞうきんで拭くようにと言ったのですけど、1000番までいったら、ぞうきんは使わないでください。ぞうきんに付いている小さなゴミで、せっかくきれいに研磨した表面に、傷が付いてしまいますから。1000番以上の研磨をした後に、岩石チップを拭くときは、キムワイプを使ってください」

キムワイプとは、科学実験用の紙ナプキンのようなものだ。

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