マイケル・ルイスがPost-Truthに斬り込んだ 行動経済学を生んだ2人の天才の物語

無数のデマが氾濫し、失われる虚実の境
1989年以来、時代の最先端を読み解くルポルタージュを世に送り続けるマイケル・ルイスは、さすがに勘が鋭い。前作『フラッシュ・ボーイズ』で株式などの超高速取引(HFT)の"先回りの詐術"を暴いたと思ったら、今度は米大統領選1カ月後の2016年12月に出版した本作『かくて行動経済学は生まれり』で、Post-Truthの世界に斬りこむという離れ業をやってのけた。
Post-Truthという新語は、英語辞書の老舗オクスフォード大学出版局が選ぶ「今年の流行語」2016年大賞を射止めた。実は訳が難しい。「ポスト真実」と直訳してもピンとこないが、英国の国民投票による「EU(欧州連合)離脱」や、トランプが逆転勝利した米大統領選で、ネット空間を無数のデマ、偽ニュースが乱舞したあげく、誰もが仰天する予想外の結果が飛び出したことからおよそのイメージがつかめる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら