「そこで私は、通常、ひとつのアカウント(顧客)は1人のSCが担当するところ、2人を主担当と副担当として貼り付け、1人の担当が休んだら、もう1人の担当がカバーできるようにしました。人員増加はせずとも、メンバーがペアを組み、協力態勢を作ることで、心理的負担を減らすことを狙ったのです」
富田さんはマネジャーになって、寝不足で不機嫌な人がひとりいるだけで、組織の雰囲気が悪くなることを実感していた。寝不足な人とはたいてい、優秀だからこそ安心して仕事を頼め、結果、仕事量が集中してしまっている人だ。
そんな人も、仕事量があまりに増えすぎると、「カツカツになって歯車が回らなくなる」。だからこそ、メインとサブを付ける作戦を行うことで、「一人に仕事が集中することが減り、『私だけなぜこんなに働いているんだ』と思う人が減った」のだという。
「これにより、部内の空気も穏やかになり、私自身、メンバーのメンタルを心配してフォローする機会が減りました」
そして、この時の「チームで効率的に働く」経験が、後にワーキングマザーとなり、育児と仕事を両立する上でも、活かされているのだ。
2つめの“育休後ポジション”開拓へ
妊娠がわかったのは、ちょうどこの“組織構造改革”の成果が見えだした頃だ。成果が見えると、仕事は楽しい。冒頭に書いたとおり、「生まれるまでは、マネジャーとして戻る気満々」だったというのもうなずける。
だからこそ、育休復帰後、出世街道を降りることへの抵抗はなかったのか?
「それが全然。そもそも子どもがそれほど好きではなかったのに、自分の子どもは可愛いし、子ども中心の生活が楽しい。子どもが子どもでいてくれる時期は長くないのだから、その時期は、自分が接してあげようと思うようになりました。こんなに、自分は変わるのかと、ビックリでしたね」
あれから5年。現在、富田さんは、仕事量は抑えつつも、また新たな挑戦に挑んでいる。
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