育休明けポストは自ら作れ!IT母の挑戦 育休明けの仕事は、上から与えられて当然?

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適任者の条件は、社内の営業マンにコンサルティングの仕事をきちんと売ってもらえるように社内外に向けて上手にPRできる人。社内に豊富な人脈があること前提だった。

富田さんはこの条件に、ピタリと合致した。社歴は10年超。大学卒業後、人の入れ替わりの激しいIT業界で、開発から始まり、社内の情報システム部、セールス、コンサルタントなど、「ジェネラリストとして社内を渡り歩いてきた」だけあって、社内の人間、そして組織を十分に知っている。

一方、富田さんからしても、この仕事は、自分ひとりで完結する仕事だし、週1回の在宅勤務も許可してもらえるという。こうして、双方の目的が一致した結果、富田さんは、2008年の育休から復帰後、「第2のキャリア」を歩み始めたのだ。

理想の働き方を得るまでのヒストリー

日本でも在宅勤務が広がれば、育児中の女性の労働参加率が上がると言われて久しい。だが、在宅勤務社員の労務管理問題、情報漏洩リスクなどがボトルネックとなり、なかなか広がらない。

ところが、日本オラクルでは、働く場所を限定しない柔軟な働き方が認められている。富田さんも、週1回の在宅勤務により、育児と仕事の両立がしやすいと語る。

「最大のメリットは、通勤時間の2時間分を仕事に充てることができること。また、日中はひとりで机に向かうため集中でき、たまっていた仕事を一気にやれます。しかも、一日中、洗濯機を回しながら、煮物をグツグツ煮ながら働けるのも魅力。洗濯ものを干すなど家事の時間は、いい気分転換にもなります」

だが、そんな“理想の働き方”は、富田さんが自分のキャリアと実績、人柄や人脈を武器につかみ取ったものだということを、忘れてはならない。現在に至るまでに、富田さんは、ガムシャラに働き会社に貢献してきたヒストリーがあるのだ。

富田さんは、1997年、アメリカの大学卒業後、日本オラクルに入社した。以来、「自分の本意はほとんどなく、会社のいいように異動させられてきた」と自嘲ぎみに語るほど、多彩な経験を積んできた。

社内SEからスタートし、ITコンサルタントを経て、長いこと社内でセールスコンサルタント(SC)と呼ばれる、いわゆるプリセールス職に従事。オラクルの製品やサービスを売る営業とコンビを組んで、顧客に技術的な説明や相談に乗る仕事だ。

さらに、金融機関のシステム作りを担うコンサルタントをした後、今度は営業に転じた。

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