テレビが生き残るカギは「ネット連動」にある 退潮続くテレビはどこを目指すべきなのか

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なぜ下げ幅が拡大しているのでしょう。この数年間に起きたことを振り返ってみると、動画配信サービスが急に活発になり、その多くにテレビ局が関わっているのがわかります。

■2014年4月:Hulu日本法人が日本テレビ傘下に。
■2015年9月:Netflix開始、フジテレビが番組提供。Amazonプライムビデオ開始。
■同年10月:民放5社による見逃し配信TVer開始。
■2016年4月:テレビ朝日とサイバーエージェントによるAbemaTV開局。
■同年8月:スポーツ有料配信DAZNがサービス開始。フジテレビ番組配信FODが定額制導入。
■同年10月:TBSが定額制番組配信サービスを開始。ビデオリサーチ社がタイムシフト視聴率の測定を開始。TBS「逃げるは恥だが役に立つ」が、リアルタイムを上回る視聴率を獲得。

ここ数年間でテレビ放送以外にもテレビ番組やスポーツ番組、映画、外国ドラマを視聴する手段が急速に増えました。リアルタイムでテレビ放送を見なくてもテレビ並みの高品質番組を楽しめる機会が拡がり、サービスを利用するユーザーも増えています。こうした状況では、視聴率は今後も下がり続けると予測せざるを得ないでしょう。

NHKの好調とフジテレビの不振

2016年度には特異な現象もありました。NHKだけが躍進したのです。G帯視聴率を上期・下期別に前年同期と比べてみました(図2)。

(図2)G帯視聴率の上期下期別前年差

民放では好調と言われている日本テレビやテレビ朝日でさえ前年より下げ、TBSだけがなんとか踏みとどまっているのに対し、NHKの好調ぶりが顕著です。

実はこの現象は、16年度の第1四半期の視聴率が出た段階で注目されていました。G帯でNHKが日本テレビを抜き、わずか0.1%の差ながら1位になったのです。NHKは16年春、「クローズアップ現代」を19時半から22時に、「ためしてガッテン」を19時半に移行するなどの大改編が成功したという分析もあったようです。しかし下期になると前年同水準に落ち込みました。では16年上期に何があったのでしょう。

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