テレビが生き残るカギは「ネット連動」にある 退潮続くテレビはどこを目指すべきなのか

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ところがNHKは違います。例えば「高専ロボコン」をニコニコ生放送やユーチューブなどの外部サイトにライブ配信したり、BS1「知られざるトランプワールド」で史上初の360度映像を同時配信するなど、今年3〜5月にかけての3カ月間だけでも、計20以上のネット連動企画を実施しています。

テレビ番組のネット連動企画は、テレビ離れの顕著な若年層を再びリアルタイム視聴に回帰させようという狙いがあります。テレビはただ視聴するだけなら完全な一方通行です。視聴率20%の番組でも、見ている側にはその盛り上がりは直接伝わらず、視聴率2%の番組と変わるわけではありません。ところがネット連動企画は工夫次第で、同じ番組を見ている人たちと一緒に盛り上がることで、リアルタイム視聴への動機づけができます。視聴率やおカネに直結するものでなくとも、ネット連動の開発は放送の価値向上に必ずつながるはずです。NHKはこのような努力を地道に続けているのです。

タイム+スポット収入からわかること

各局の決算資料には、タイム収入とスポット収入というもう1つの興味深いデータが載っています。キー局5社のタイム+スポット収入の合計と全日視聴率の合計値を、05年度を1としてどのように変化したのかをグラフにしてみました(図4)。

(図4)キー局5社のタイム+スポット収入合計と全日視聴率合計の変化

キー局5社のタイム+スポット収入は、08年のリーマンショックで大きく落ち込みましたが、その後は視聴率の下落にもかかわらず持ち直し、この4年ほどほぼ同水準で推移しています。視聴率は下がっているのにCM収入は下がらない、この不思議については本誌15年9月号「テレビ広告“限界説”を吹き飛ばせ!」でも取り上げており、テレビ広告費は好調な景気と連動するためだと分析しました。

しかしこの2年間はそれでは説明がつかないほど視聴率1%当たりのCM収入は高騰しています。その理由は、ネット広告では一度に多くの消費者には届かない、マスに訴えるのはやはりテレビ広告だと、テレビが再評価されたからとも言われています。テレビ局にとってはありがたいことですが、視聴率が下がるのに1%あたりのテレビ広告費は上がり続けるという「バブル状態」がいつまで続くのか、テレビ局はいつかは来るバブル崩壊に備えなくてはなりません。

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