テレビが生き残るカギは「ネット連動」にある 退潮続くテレビはどこを目指すべきなのか
昨年4月には熊本地震、7月には参院選挙、都知事選挙、8月にはリオ五輪開催などがありました。つまりNHKの16年度の好調ぶりは、春の大改編など内的な要因よりも、災害やニュース、オリンピックなど上期に集中した外的要因によるものではないかと分析できます。
NHKの躍進以外にどうしても目立ってしまうのがフジテレビの不振ぶりです。他の民放も下げてはいるのですが、フジテレビが突出しているのは明らかです。
この11年間に各局の視聴率がどう変化したのかを見てみましょう。G帯の局別年度平均視聴率の推移をグラフ化しました(図3)。
全体的に右肩下がりになっています。3年連続で視聴率三冠王となった日本テレビでさえ、視聴率を上げているのではなく、下げていないだけです。テレビ朝日は12年度に1位になりましたが、その後は4年連続で下げています。TBSは05年度から4年間急激に下げた後は下げ止まっています。そして11年間を通じて大きく視聴率を下げたのがフジテレビです。05年度にはダントツ1位の14.3%だったのが昨年度は8.0%、下落率は44.1%です。
2011年の地デジ化で、新聞のテレビ欄でフジテレビが一番右端になってしまったことの影響もあるのでしょうが、不振の要因分析は容易ではありません。言えるのは、視聴率の下落傾向に止まる様子が見えないという深刻な事態ということです。16年度は1つ上位のTBSとの差は1.8ポイント、1つ下位のテレビ東京との差は1.5ポイントでした。さて17年度はどうなるのでしょう。
NHK好調の要因はネット連動?
NHKのG帯視聴率は、05年度は4位でしたが、08年度には1位に迫る勢いで、その後は徐々に下げたものの、ここ数年は下げ止まり、16年度は再び2位に返り咲きました。
このNHKの健闘ぶりの要因には、ネット連動企画を積極的に打ち続けていることが挙げられます。数年前まで、民放キー局もさまざまなネット連動企画を実施し、リアルタイム視聴促進につなげる努力をしていました。その動きは本誌15年5月号の特集「テレビイノベーションは大阪から始まる」や、16年2月号の「テレビのネット連動20年」でも取り上げました。
例えば在阪5局を中心としたマルチスクリーン型放送研究会によるSyncCast、朝日放送の「バーチャル高校野球」や「ゲーム王」でのニコニコ動画風の視聴者コメント表示、また日本テレビの「金曜ロードSHOW!」におけるスタジオジブリ作品等でのスマホ連動、TBS「大炎上生テレビ オレにも言わせろ!」や「リアル脱出ゲーム」でのネット連動など、各局は意欲的で挑戦的な連動企画を積極的に展開していました。しかし最近は、各局とも動画配信サービスに集中しているせいか、新しい連動の動きがあまり見られなくなっています。
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