野村克也が語る、「弱者」こそ最後に勝つ理由 「コミュ力」の前に何を身につけるべきなのか

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そう思うと、私はいい時代に監督をやらせてもらった気がする。性格が明るく、軽く、柔らかくもなく、世渡りがうまくなくても、監督としての力量をしっかり見極めてくれる信頼がおけるオーナーや社長がいた。

「コミュ力」の前になくてはならないもの

「信は万物の基を成す」という言葉がある。「信」すなわち、信頼、信用はすべての礎ということだ。

「信」なくして、いい人材は成り立たない。その「信」を形成するのは、やはり純粋な人としての力量だ。そして、そこに確固たる結果がついてくれば、自然と人としての「格」が出てくる。

筆者の近著『弱者の流儀 野村克也31の考え』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

読者の中には、自分がコミュニケーション下手であると悩んでいる方もいるかと思う。私は一般的に言われているコミュニケーション能力が、一流になるために絶対に必要な要素だとは思っていない。

信頼、信用というものは、真摯に物事に取り組み、力を蓄えていくことで、自然と周囲から得られるものだと思っている。小手先のテクニックや追従などで得られるものでは決してない。

あなたがコミュニケーション下手を自覚しているなら、「世渡り上手」を目指すのではなく、まず実力をつけるのが先だ。

そして、結果を出して自信をつける。自信も「信」のひとつと言えるだろう。そうすれば、おのずとコミュニケーションもよく取れるようになっていくはずだ。

野村 克也 野球解説者

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のむら かつや / Katsuya Nomura

1935年京都府生まれ。京都府立峰山高校卒業。1954年、テスト生として南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)に入団。3年目でレギュラーに定着すると、以降、球界を代表する捕手として活躍。1970年には南海ホークスの選手兼任監督に就任し、1973年にパ・リーグ優勝を果たす。1978年、選手としてロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に移籍。1979年、西武ライオンズに移籍、翌1980年に45歳で現役引退。27年間の現役生活では、三冠王1回、MVP5回、本塁打王9回、打点王7回、首位打者1回、ベストナイン19回と輝かしい成績を残した。三冠王は戦後初、さらに通算657本塁打は歴代2位の記録である。1990年、ヤクルトスワローズの監督に就任。低迷していたチームを立て直し、1998年までの在任期間中に4回のリーグ優勝(日本シリーズ優勝3回)を果たす。1999~2001年、阪神タイガース監督。2006~2009年、東北楽天ゴールデンイーグルス監督。現在は野球評論家として活躍。著書に『野村ノート』『エースの品格 一流と二流の違いとは』(いずれも小学館)、『野村の流儀』(ぴあ)、『野村再生工場 叱り方、褒め方、教え方』(角川書店)、『なぜか結果を出す人の理由』(集英社新書)、『侍ジャパンを世界一にする! 戦略思考』『運』(いずれも竹書房)など。

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