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40歳女性社長が体現した子育てママの理想郷 保育付きシェアオフィスが「働き方」を作る

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  • 河崎 環 フリーライター、コラムニスト
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その後、不動産会社であるトーセイに転職し、結婚・出産を経て、管理職としてサラリーマン生活をしていた高田の胸に、2011年、起業の大本となる「保育サービス付きシェアオフィス」のビジネスアイデアが湧く。

だが、軒並み起業家となっていたスペースデザイン時代の同僚たちに相談すると、彼らは「いいアイデアだが、まだ時代が来ていない。あと5年待て」と口をそろえて言い、高田はいったんアイデアを寝かせた。2014年、高田に自己資金が調う。「その時が来た」と高田がいよいよ覚悟を決めた瞬間だった。

働き方改革が自分の強力な追い風となっている

デベロッパー分野で鍛えた腕が鳴る。まずは、もちろん紆余曲折も試行錯誤も経て、あえて駅から遠いデメリットを負った馬事公苑でのマーケティングに成功し、狙いどおりのユーザーを獲得。空間開発を通して利用者たちの人生を手助けするという高田の哲学をマーケットが承認した形となった。横濱元町では、保育施設部分に内閣府の「企業主導型保育事業」認定を手にしたいと奔走し、オープンにこぎ着けた。「かつての同僚たちに言われて、5年待ったかいが確実にあった」と、高田はいまの働き方改革が自分の強力な追い風となっていることをかみしめる。

高田さんが「モモレンジャー」と呼ばれる所以とは?(右はフードアナリスト、とけいじ千絵さん)

起業仲間たちは高田を「戦隊もので言うなら”モモレンジャー”だから」とつねに気にかけ、それぞれが成功した起業家として多忙を極める身であるにもかかわらず、マフィス横濱元町のオープニングパーティにも続々と駆けつけてくれた。「自己認識としては面白キャラのキレンジャーなんですが」と、高田は不本意そうにするが、「周りがほっとけないんですよ」とオクシイのメンバーは話す。「だって、周りはみんな半信半疑なのに、本人はできるって頭から信じきっているんだもの」。

信じきる嗅覚、それは江副DNAなのかもしれない。高田の描いた空間に、思い描いたとおりに小さな子どもを連れたプロフェッショナルの女性たちが、ママチャリで通ってくる。大企業の名刺を持つおじさんたちが見学にやってきて、契約へつながる。「この立地、この空間だからこそニーズがある」との手応えが、高田の自信となる。

女には野望がある。それが母であってもだ。母たちの職業人としての野望実現の手伝いをし、働く場を「女や子どもが当たり前にいる」風通しのいいものへと変えていくこと。それが高田麻衣子の野望でもある。

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【「オフィスには誰もいない」? 新しい風が確実に吹く】

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