40歳女性社長が体現した子育てママの理想郷 保育付きシェアオフィスが「働き方」を作る

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ママをたすけるシェアオフィス「マフィス横濱元町」

2階に上がると、少し大きい子どもたちのための保育室とマジックミラーを挟んだ向こう側に、親が使うオフィスルームがあった。いすはすべてハーマンミラー社の名品、セイルチェアだ。デスクライトは、スリムで作業空間の邪魔にならないことを条件に選んだ白いシンプルなもの。オフィスルームを出たところに配置されたリフレッシュメントバーには、セルフサービスで使えるエスプレッソマシンに、各種コーヒー紅茶が並ぶ。こんな贅沢なシェアオフィス、筆者はこれまでに見たことがない。

「私のために作ってくれたんですか?」

小さな子どもを抱っこひもに入れて見学にやってくる利用者たちはそう感嘆する。マフィスはオクシイ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:高田 麻衣子)の初の事業として2014年12月に世田谷区・馬事公苑に最初の施設をオープン以来、フリーランス、企業に属しながらのリモートワーク、育休中の母親・父親など、延べ100人を超える会員へ「安心して仕事や勉強に集中できる環境」を提供してきた。「子どもの近くで、わたしの時間」というブランドコンセプトに、現にいま小さい子どもを抱えて働いたり学んだりする意思を持つ若い母親たちからの支持が集まっている。

「企業主導型保育事業」認定、子育ても仕事も諦めない

親が使うオフィスルーム

マフィス横濱元町は、内閣府が待機児童問題の解消と仕事と子育て両立支援を目的に進める「企業主導型保育事業」施設として認定を受けた。利用者には「企業枠」と「地域枠」があり、両親のどちらかが企業勤めの場合は「企業枠」を、そのほかは「地域枠」として登録・利用する。

利用者の中には、都心など遠方の企業に所属しながら週に何回かマフィスでリモートワークをする人、企業勤務ではあるものの子どもが保育園に入れなかった人、フリーランスで職場をマフィスに置く人、仕事にすぐに復帰しなければいけないが母乳育児をあきらめたくない人など、さまざまな事情とニーズがある。

「子育ても仕事もあきらめない生き方をサポートする施設です」と、高田は語る。保育サービス付きで、存分に仕事や勉強に集中できる施設は、2014年のオクシイ起業当時、まだ珍しい業態だった。マフィスを利用することにより、働きたいけれど環境が整わない人々や通勤時間の長さに悩む人々が無理せず仕事と育児の両立ができるよう、また、仕事をあきらめなくていい選択ができるようにするにはどうしたらいいか。

高田自身が小さい子どもたちを抱えながらサラリーマンとして働いていた当時、彼女が思い描いたのは「家と保育園、職場を隣接できたらいいのに」。子育てと仕事にゆとりと笑顔を生み出す「新しい働き方」の環境を整えたい。それがサラリーマンを辞職して起業へと彼女をドライブした、母としての野望だった。

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