30歳を過ぎたIT業界のピン芸人が食べていくには、主に3つのパターンがあります。
① 天才エンジニアでないかぎりはプロジェクトをミスなく回せる「プロマネ兼エンジニア」
② 会社を上場に耐えられる体制にもっていける「管理本部長」
③ 自社サービスをマネタイズにもっていける「プロデューサー」
特に②は非常に不足しており、筆者のところにも毎日のように、IT業界のことがわかって、財務会計、コンプライアンスを仕切ってくれるような人を紹介してほしいというベンチャー企業からの問い合わせが来ています。
③は言わずもがな、アイデアをおカネに換えてくれる「やり切れる人材」はどこでも欲しがられます。アイデアだけの発散型エバンジェリストは、一緒に飲んでいるときにジョブスや最新ガジェットについて語ることは楽しいですが、おカネに換えるところまでやり切れる人かどうかが重要です。
もしも割り切って受託で生きていくという選択をした場合は、景気変動に影響されないように顧客を多様化する必要性があります。これは垂直・水平に多様化が必要で、大手ベンダーの孫受けを脱し、企業から直接仕事をもらうこと、そして、その顧客企業の産業分野を多様化することです。このように顧客ポートフォリオを増やし多様化することでしか、景気変動の波を吸収することはできません。これができれば売り上げと固定費もバランスするものです。
高く売れる会社の条件
質問者のような方は一回、ここら辺で会社を売却するという選択肢もありますが、この場合でも受託っぽい事業であれば、買い手からすると「人買い」なので従業員数とそのスキル、そして持っている顧客に値段が依拠します。
この場合は自社サービスのような「カネが生まれる仕組み」を売却することではありませんので、「営業利益の●倍ね」と言うように値段がつくわけではありません。そうした意味でも、①ものすごくユーザがいるか、②小さくてもマネタイズができている自社サービスがあると、会社も高く売れます。
最後にまとめますと、もし受託をされているのであれば、1次顧客から仕事を請け、顧客を多様化すること。足元の現金に余裕があるならば、自社サービスの立ち上げを検討すること。何かあったときに「売れる」人材はフットワーク軽く何でもやってくれる管理本部長か、サービス立ち上げ請負人というところなので、自分のキャリアにそうした風味をつけてみること。などを考えてみることでしょうか?
銀行交渉ができたり、税務に明るいとベンチャーでは重宝されます。付け加えますと、いくつかのベンチャーを渡り歩き、ストックオプションを手に入れ、人知れず豊かな暮らしをしている人は管理本部長タイプが多いのです。
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