ご質問者のように、IT関連で起業してそこそこ楽しく食べていけているけど、リブセンスにもフリーなエージェントにもならず、年齢を重ねると急に市役所勤務の同級生が輝いて見えたりと、30歳を過ぎて将来が不安になってきたというご相談が多いものです。
筆者もそうでしたが、20代で起業すると周りからは、「変わってるね」とか「すげえ、かっこいい」とか「『GQ』に載ってたよ」とか「『SPA!』にも載ってたよ」とベンチャーの旗手のようにもてはやされますが、時を経て街の中小企業になっていたりします。
ご質問内容や売り上げ規模から推察すると、IT関連は「受託」でしょうか? そこそこコードが書けて旬のものがつくれて、機動力があると、若くても独立して受託で食べていけるものです。大手SIerから独立しても、そのときの収入より少し上くらいの収入と、比較的自由な時間、そして何よりもウザい上司やプロマネから解放された身分になれるので、独立も魅力的です。
渋谷や恵比寿に仕掛けられる「受託の罠」
IT、特に広くインターネット業界の方ですと、自作アプリで当てたという話や、シリコンバレーでインスタグラムがフェイスブックに800億円で買収されたなんて話を聞いて、自分でも何かサービスをつくってみたくなることでしょう。
もちろん、お願いしたリアル友達以外の誰にもダウンロードされず、パズドラにならないアプリは売るほどあります。自社サービスつくるぞと独立しても、なかなか当たらずに、そのうち食べるために受託をやり始め、受託が忙しくなってしまい自社サービスが育たないという状況を「受託の罠」と呼び、主に渋谷や恵比須近辺に多く仕掛けられています。
こうなってくると質問者の方のおっしゃるように、仕事を受託でもらっているうちはいいですが、受託の仕事量に対応するために固定費(主に人件費)を増やした場合、景気変動で仕事が止まった瞬間に固定費が賄えずに大赤字になります。
こうした状況から脱出する方法は、人工(にんく)商売である受託を抜け出し、「仕組み」で稼げる自社サービスをつくることですが、自社サービスは一朝一夕にできるものではありません。ある時点まで受託でキャッシュを稼いだら、戦略的に固定費(主に人件費)を増やさずに人的リソースをいったん自社サービスに大きく振って踏ん張るか、ベンチャーキャピタルから資金調達をし、温めていたサービスに注力するしか方法がありません。
なぜ、上記のようなお話をしたかというと、実は質問者の方の今後のキャリア展開に大きくかかわるからです。
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