「ホールフーズ」がアマゾンに身売りした事情

熱心なファンも少なくないのに

マンハッタンにあるホールフーズに並ぶ野菜。ほかのスーパーに比べて価格が高めなため、「ホール・ペイチェック(給料がすべて消える場所)」と呼ばれることも(写真:Carlo Allegri/ロイター)

アマゾンが137億ドル(約1.5兆円)で買収すると発表したことで、世間の耳目を一気に集めている高級スーパー「ホールフーズ・マーケット」。自らを「アメリカで最もヘルシーな食料品店」と評する同社の身売りは米国人にとって大きな衝撃となった。

テレビ、新聞、ネットニュースはこの話で持ちきりになり、ツイッターには「アマゾンが137億ドルでホールフーズを買収――(ホールフーズで売っているオーガニックの)ベリー11袋分に相当」といったジョークが飛び交った。

ツイッターで異常な盛り上がり

中でも、ツイッターで異常な盛り上がりを見せたのが、アマゾンが開発するアレクサという人工知能(AI)を搭載した音声認識端末「エコー」と、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOの架空のやり取り。エコーにはアマゾンの商品を注文できる機能が付いているのが特徴で、米国では「アレクサ、~を注文して」とエコー経由でアマゾンの商品を買う機会が増えている。そこで、出てきたのが以下のやり取りだ。

ベゾスCEO:アレクサ、ホールフーズで何か買って。

アレクサ:わかりました。ホールフーズを買収します。

ベゾスCEOほどになれば、エコーを使って企業を買収することもなんてことない、ということを表すこのジョークの面白さは、米国人にしか通じないかもしれない。が、ツイッターでは瞬く間にこのジョークがリツイートされると同時に、これをベースにしたジョークがどんどん増えていった。つまり、米国人にとってホールフーズはアマゾンと同じくらいなじみ深い存在というわけだ。

1978年にテキサス州オースチンで創業したホールフーズは、オーガニック食品を数多く取り扱う「自然派高級スーパー」。現在、米国やカナダ、英国で約470店舗を展開しており、ファンも少なくない。ただ、オーガニックという商品柄単価はほかのスーパーに比べると高く、顧客から「ホール・ペイチェック(給料の全額が消える場所)」と揶揄されることもある。

ホールフーズが愛される理由のひとつは、多くの米国人にとってホールフーズが初めての「オーガニックスーパー」だからだ。ホールフーズに行くのは、ほかのスーパーに行くのとはわけが違った。店内には、「いかにも獲れたて」の野菜や果物、肉や魚、牛乳といった生鮮食品から、日用品や化粧品、総菜などが並ぶ。「世の中に、こんなにオーガニック商品があったのか」と驚くほどの品ぞろえだ。パック詰めされたサラダや総菜は、まるでライフスタイル誌から飛び出してきたようで、思わずインスタグラムにアップしたくなる。

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