「ホールフーズ」がアマゾンに身売りした事情

熱心なファンも少なくないのに

それでも、投資家の不満は収まることなく、4月上旬にはアクティビストファンドのジャナ・パートナーズがホールフーズ株9%を取得し、身売りを含めた事業テコ入れを迫った。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、4月末にはこれに続いて、投資信託会社のニューバーガー・バーマンが、ホールフーズ経営陣に書面を通じて身売りを提案していた。

これに対して、ホールフーズは5月9日に、新CFOを迎え入れるなどして、経営陣を大幅に刷新。翌日にはアマゾンへの身売りを発表した。

アマゾンによる買収を多くのメディアは好意的にとらえており、焦点はホールフーズでの顧客体験が今度どう変わるのか、に移っている。たとえば、NPRに出演した食品業界アナリストのデビッド・ポルタラティン氏は、ホールフーズの店舗は将来的により「体験型」になると指摘。たとえば、ある素材を使った調理法を指導したり、食品に関するクラスを開いたりと、店舗でしかできないことを提供するようになると見る。

ドローンで農産物が配達される日

『フォーブス』誌は、消費者の「買い物の仕方」が進化していることに触れ、「食料品の分野でも物理的な店舗をオンラインに(結びつける)必要性に迫られているのは明らか」であり、今どきの消費者はリアル店舗とオンラインを一体で考えていると分析している。

一方、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌は、ホールフーズの経営が低迷していた理由の1つとして、マッケイCEOの言動が時折物議を醸すことを挙げ、買収によって「ホールフーズが必要としている大人による監督をアマゾンが担うことができる」と好感を示している。

ジョーク交じりの予想記事もあった。ワシントン・ポスト紙は、アマゾンのドローン配送を利用して、ホールフーズのオーガニックケールがユーザーの家の玄関に届けられる未来を予想していた。先進技術を用いて農産物を配達するなんて、今聞くと愚かに思えるかもしれないが、今から数年前にはスマホを使って、ランチを注文するなんていうことをしている人はほとんどいなかった。

アマゾンはいまや、米国人にとって欠かせない「ライフライン」となっている。そこに米国人を夢中にさせたスーパーが加わるとどうなるのか。「アスパラガスウォーター」やゴートチーズなどを、エコーで購入できるようになるならば、ホールフーズは再び、米国人から愛されるようになるかもしれない。

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