「ホールフーズ」がアマゾンに身売りした事情 熱心なファンも少なくないのに

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店舗にもよるが、総菜の種類も圧巻で、サラダや前菜、肉料理や魚料理、すし、カレー、サンドイッチなどが豊富にそろっており、購入した商品を店内で食べるスペースもある。「ホールフーズ・マーケット」や「365エブリデイ・バリュー」といったPB商品も何だかしゃれている。

加えて、どの店舗に行っても、店内はシミ1つないといっていいほどきれいに清掃されているうえ、店員も驚くほど感じが良い(これは米国では珍しいことだ)。ホールフーズに行くのはまるで、高級レストランに行ったり、ブランドバッグを持ったりするような体験になったのだ。

一方、ホールフーズが店舗を増やしていく中で、米国人の意識や暮らし方も変わっていった。都市部の富裕層を中心に健康志向が高まり、多少価格が高くても「健康的で安全な」食品が求められるようになった。こうした人たちをホールフーズは巧みに取り込んできたのである。

とりわけ、「ミレニアルズ」と呼ばれる1980年頃から2000年代に生まれた若い世代にファンが多いのが特徴で、米公共ラジオNPRによると、2016年この世代の24%がホールフーズで買い物をしているという。

アマゾンにもホールフーズファンは少なくないようで、買収に関するシアトル・タイムズの記事では、シアトル市内にあるアマゾン本社社員の多くが、ホールフーズを「愛している」と書いている(ちなみに、この本社からほんの数メートルのところにホールフーズはある)。

7四半期連続で既存店売上高が減っている

そんな「愛されスーパー」が、なぜ身売りをすることになったのか。それは、業績を見れば一目瞭然だ。過去10年間の状況を見てみると、店舗数、売り上げともに右肩上がりで増えている一方で、営業利益は2015年9月期から2年連続で減少。直近の2017年2~4月期も、売上高は前年同期からほぼ横ばいを維持しているが、営業利益は同約30%減っている。既存店売上高に至っては、過去7四半期連続で減り続けている。

背景にあるのは事業環境の変化だ。サンフランシスコやポートランド、ニューヨークなど、ホールフーズが強みを持つ都市部は近年、生活費が凄まじい勢いで上昇している。加えて、ウォルマートやクローガーなど大手や、トレーダー・ジョーズやスプラウト・ファーマーズ・マーケットなど新興のスーパーがこぞって、自然食品やオーガニック食品をより安価で販売を始めた。こうした中、かつてホールフーズで買い物をしていた「ちょっとリッチな中間層」が、トレーダー・ジョーズなどへ流れていったわけだ。

こうした中、2月にはジョン・マッケイ創業者兼CEOが、2017年9月期の収益見通しを引き下げると同時に、長らく掲げてきた「米国で1200店構想」を取り下げた。今後は、よりデータを使った顧客分析を強化するほか、最近始めた安価で小規模なスーパー「365 バイ・ホールフーズ・マーケット」を増やすことで、若年層顧客の開拓に乗り出すなどしている。

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