儲かる投資信託が埋もれてしまう日本のナゾ 人気ランキングは必ずしもあてにならない

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残りの3本のうち1本は、海外債券に投資する商品で、2本はバランス型です。バランス型とは、国内・海外の株式や債券など、さまざまな金融商品を組み合わせて分散投資をした商品です。一見、便利なように見えますが、インデックス型を組み合わせて分散投資をするほうがコスト面で有利になるケースが多く、投資経験が豊富な人にはあまり評判がよくありません。しかし、選んだ2本は、バランス型の商品の中でも最先端といえる運用手法を用いており、今後のバランス型のイメージを変える可能性を秘めています。商品の運用期間が3年を超えてきたので、今回オススメ商品として取り上げました。

3年間の積立効果は?

ここで、①定期預金、②日経225連動型のインデックスファンド、③「DIAM国内株オープン」それぞれについて、毎月1万円ずつ過去3年間にわたって積み立てを行っていた場合の投資成果を見てみましょう。

① 定期預金(楽天銀行 3年もの定期預金金利:0.03%)
元金:360,000円
利息(税引前):153円
積立合計額:360,153円

 

② 日経225連動型インデックスファンド(3年間年率平均リターン:11.8%)
元金:360,000円
運用収益(税引前):69,451円
積立合計額:429,451円

 

③ DIAM国内株オープン(3年間年率リターン:25.0%)
元金:360,000円
運用収益(税引前):168,360円
積立合計額:528,360円

 

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定期預金と投資信託の収益性に大きな差があることは一目瞭然ですが、同じ国内株式でも、日経225のインデックスファンドと、本著で紹介しているアクティブ型の「DIAM国内株オープン」では、積立合計額で最終的に約10万円の差が開いています。

アクティブ型の投資信託は、相対的に信託報酬が高いことから敬遠されがちですが、投資信託の基準価額と運用成績はコスト控除後の数値です。よく信託報酬の値だけを見て「コストが高い」と切り捨てる方がいますが、コストを控除後の値である運用成績(騰落率)を見ないでファンドの良しあしを判断するのは、まったくもってナンセンスなのです。

なお最近は、ネット証券を中心に投資信託の最低投資金額が100円まで引き下げられています。投資初心者の方や、それでもなおアクティブファンドの実力に懐疑的な見方をされている方は、インデックスとアクティブを100円ずつ積み立ててみてもよいでしょう。

篠田 尚子 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト

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しのだ しょうこ / Shoko Shinoda

慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 国内の銀行において個人向け資産運用のアドバイス業務に携わった後、2006年ロイター・ジャパン(現トムソン・ロイター・マーケッツ)入社。傘下の企業で、投資信託評価機関として世界最高峰に位置づけられるリッパーにおいて、世界中の機関投資家へ向けて日本の投資信託市場調査および評価分析レポートの配信業務に従事。同時に、香港やシンガポールなど世界各国で開催される資産運用業界の国際カンファレンスで日本の投資信託市場にまつわる講演も数多く行う。 2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。日本の投資信託市場動向を国内外のメディア等へ配信しながら、海外の投資信託市場の分析も手がけている。

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