儲かる投資信託が埋もれてしまう日本のナゾ 人気ランキングは必ずしもあてにならない

拡大
縮小

長期投資を前提にすると、運用で得られた利益は新たな運用に回すのが望ましいといえます。また、利益から出される分配金には税金がかかるので、税金の徴収が前倒しになってしまう点も、毎月分配型のデメリットです。さらに、分配金の送金にかかる経費や、分配金の支払いのたびに行われる運用会社の決算の費用もバカになりません。このように、人気ランキングは、問題の多い毎月分配型の商品ばかりがランクインされているので、あまり参考にしてはいけないのです。

また、商品の値上がり率の高さだけを判断基準にして、投資信託を購入するのは避けるべきです。投資信託の場合、「商品の値動き」と「運用の優劣」が、必ずしも一致しているわけではないからです。 

1990年にノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツの「現代ポートフォリオ理論」によれば、保有する金融商品が十分に分散化されたインデックス型の商品での運用が効率的であると述べられています。「資産形成はインデックス型の商品がベスト」という風潮は、現代の投資理論から生まれたものであり、この考え方が独り歩きした結果、「優れたアクティブ型の商品」が、インデックス型の商品の陰に埋もれてしまうという事態になってしまったのです。

もちろん、私自身も「現代ポートフォリオ理論」の内容自体は正しいと考えており、その点に異論はありません。しかし、最前線で投資信託分析の仕事に携わってきた私は、「インデックス型の成績を大きく上回る、優秀なアクティブ型の商品がきちんと存在している」という事実を知っています。そのため、「投資信託で資産形成をするなら、インデックス型の商品がベストである」という定説は、少し行きすぎた話であり、違和感を抱かずにはいられないのです。

では、どう選べばいいか?

私が考える、「本当に優良なアクティブファンド」の定義はとてもシンプルです。インデックスを上回る運用成績を収めていて、なおかつ、その運用成績が、カテゴリー(「国内株式」「先進国債券」など)内でおおむね上位20%以内に入っていること。さらに、世間ではあまり知られていない、本当に儲かるファンドを抽出するため、私は以下の6点を条件として掲げています。

① 購入時手数料がかからない
② 決算回数が年2回以下
③ 3年以上の運用実績
④ 2社以上の金融機関で購入が可能
⑤ 同じカテゴリーに属する商品との比較
⑥ 運用手法および運用体制の評価

 

国内で販売されている約6000本の投資信託の中には、金融機関向けや企業の年金専用の商品があります。また、個人向けであったとしても、自由に売買できない「単位型」と呼ばれる商品や、預貯金に近い性格を持つ商品もあります。そうした商品を除き、さらにインデックス型の商品を除くと、約2000本まで絞り込めます。そこから、上記の条件を当てはめて、最終的に10本を選出しました。

次ページ「本当にお金が増える投資信託」リスト
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT