シェアリングエコノミーをGDPでどう扱うか 政府の統計改革における注目点の1つに

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シェアリングエコノミーの代表格エアビーアンドビーの共同創業者ジョー・ゲビア氏(撮影:松浦大)

国内で一定期間内に生み出されたモノ・サービスの価値を示す「国内総生産(GDP)」。国の経済規模や経済構造を把握し、その変動から景気判断を行う代表的な経済指標だ。だが経済実態の正確な把握を目指そうとすれば課題は多く、目下、政府はGDP統計の改革を進めている。

5月19日、政府の「統計改革推進会議」が最終報告をまとめた。その中で今後のGDP改革の課題の1つとなりそうなのが、近年急速に広がりを見せているシェアリングエコノミー(共有経済)の実態をどのように把握し、GDP統計に取り込むかということだ。

インターネットがもたらした消費の変革

シェアリングエコノミーについて、総務省の資料は「典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸し出しを仲介するサービス」と定義し、「貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある」と説明している。代表的なのは米ウーバー・テクノロジーズが展開する配車サービス(ライドシェア)や、米エアビーアンドビーが展開する民泊(住宅などを宿泊施設として貸し出すこと)だ。

スマートフォンの普及により、時と場所を選ばずインターネットへのアクセスが可能になり、ソーシャルメディアの普及により他人同士のコミュニケーションが容易になった。こうしたテクノロジーの進歩から、シェアリングエコノミーの発展する素地が整ったといえる。

現在、「ユニコーン企業」(企業価値が10億ドルを超える有望ベンチャー)と呼ばれる世界の企業の中で、シェアリングビジネスを展開する企業の存在感が増している。ウーバーやエアビーアンドビーのほか、中国でもシェアリングエコノミーの爆発的普及で、ライドシェアの滴滴出行(ディディチューシン)や個人間融資のルファックスといった企業が急成長している。英PwCの報告書では、2013年に150億ドルだったシェアリングエコノミーの各国合計の市場規模は、25年までには3350億ドルに拡大するとされている。

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