「高齢同棲」が米国で驚異的に増えているワケ

結婚にはないメリットもある

人口学者の関心も高い。4月にシカゴで開かれた米人口学会の年次総会では、新たなパートナーと暮らす中高年をテーマにしたパネルディスカッションも行われた。

同棲する中高年の増加は、彼らがそもそも人数の多いベビーブーム世代だからという面もある。また、離婚率が上昇しているという背景もある。50歳代以降の熟年離婚は、1990年代以降ほぼ倍増している。死別なら1人のところ、離婚ならば2人の人間がフリーになる。それが昨今の高齢者層で見られる現象だ。

またその一方で、人々の意識も変わっている。「離婚経験者は(パートナーとの)関係のあり方に関しておおらかな考えを持っている」と、ラトガーズ大学の社会学者、デボラ・カーは言う。カーは米人口学会のパネルディスカッションでも司会者を務めた。

「結婚を理想形とする考えそのものが薄れ始めており、個人の幸福のほうが重視されるようになってきた」

同棲は広く受け入れられるようになった

ベビーブーム世代といえば、20~30歳代のころに今では珍しくない「結婚前の同棲」を始めたと自負している世代でもある。

「同棲といえば、昔は世間から白い目で見られた」とテキサス大学オースティン校の社会学者、ケリー・ライリーは言う。婚姻関係にない2人が一緒に住めば、親族からも宗教団体からも非難されることが多かった。

だが現代の米国では、同棲は広く受け入れられるようになり、60歳を迎える人々は「20年前に60歳だった人々とはかなり異なっている」とライリーは言う。

例えばキャンターは計38年間という長きにわたる結婚生活と2度の離婚を経験した後、恋愛や結婚の相手を探すサイト「マッチ・ドットコム」でトービンと知り合った。「離婚するということは、いろいろなことを片づけなければならないということだ」とキャンターは言う。

「一緒の生活はすばらしいのだから、それをかき乱す必要はない。あんな紙切れが重要だとは思わない」

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。