「高齢同棲」が米国で驚異的に増えているワケ 結婚にはないメリットもある
オクラホマシティーに住むジェーン・カーニー(69)とノーム・ストーナー(74)はどちらも前の結婚相手とは死別した。かなり長い間——2004年にストーナーがカーニーの家に引っ越してきた後も——2人は法的に結婚するかどうか話し合った。
「(結婚することの)プラス面のリストは非常に短く、マイナス面のリストは非常に長かった」とカーニーは言う。例えば再婚すれば2人とも遺族年金がもらえなくなる。結婚しなければ、相手の資産のためにメディケイドの資格を失うこともない。
はっきりと目には見えないプラス要素もある。同棲していればお互いの健康状態を見守ることができるから、独り暮らしよりも肉体的にも精神的にも生活の質は上がるとカーは言う。
親子関係にひびが入ることも
だが成人した子どもとの関係にひびが入ることもある。人口学会のパネルでボーリング・グリーン州立大学の大学院生、マシュー・ライトは、同棲している親は、結婚を継続している(または結婚相手と死別した)親と比べて子どもと連絡を取る頻度が低く、親子関係も良好でないとの報告を行った。
もっとも、再婚したり離婚した親とは同程度であることから、親子関係に影を落としているのは法的な関係うんぬんよりも、離婚してしまったこと自体であるようだ。
では介護の問題はどうだろう。婚姻関係とは、互いに相手の面倒を見ると誓った間柄を意味する。そのために中高年の女性(前の相手と死別した場合は特に)が再婚をためらう可能性はあるだろう。
ある全米規模の調査によれば、同棲している中高年の人々は法律上の夫婦よりは相手の介護をしない傾向にあるという。ただし介護を担っている場合には、法律上の夫婦と同じくらいの時間を使っているという。