それでも繰り返される「組体操事故」の実態 やむなく裁判に至った親子が訴えたいこと

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2人組で行う倒立や肩車なども危険だ(写真:リュウタ / PIXTA)

春の運動会シーズンがやってきた。2012年にベネッセが全国の小学生や園児の保護者を対象に運動会を実施する時期を調べたところ、9月・10月の秋は53.5%で、5月・6月は43.7%と春と秋でほぼ半々。最近は中学受験への配慮や2学期制への移行もあって春実施が増えているようだ。

運動会で近年問題になっているのが組体操事故だ。2014年度に全国の小・中・高校で起きた組体操関連の事故は8592件(独立行政法人日本スポーツ振興センター調べ)。昨年の春の運動会を前にした2016年3月、スポーツ庁は、組体操を実施するか否かの判断は自治体や学校に委ねるものの、「確実に安全な状態で実施できるかどうかをしっかりと確認し、できないと判断される場合には実施を見合わせるように」などと各自治体へ通知した。

ところが、組体操の危険性について2014年から言及している名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授の内田良さんは、スポーツ庁の通知以降の2016年春夏も「地域にもよるが、8段、9段といった人間ピラミッドが堂々と行われていた」という。ツイッターやフェイスブックなどのSNSで画像などがアップされていたからだ。しかも「感動しました!」「すごい迫力!」といった感想付きで。そこには自粛しようとか、安全に十分に配慮しようといった意識は感じられない。特に関西方面で行われたものが目立った。

大阪市教育委員会は2月9日、組体操で四つんばいの姿勢で積み重なる「人間ピラミッド」を2017年度から禁止することを決めた。肩の上に立って円塔をつくる「タワー」も同様に危険なため禁じたが、守られるだろうか。

倒立や肩車でも年間400件以上の骨折事故

このような巨大ピラミッドは組体操の事故件数の40%を占め、いかにも危なそうだ。が、実は一見そうでもなさそうな倒立や肩車といった2人組で行う種目でも、年間400件以上の骨折事故が発生。重い後遺症が残るケースも決して少なくない。

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