「騎士団長殺し」に見える村上春樹のパターン この話型は彼に取りついたものだ
ツイッターはいいメディアだ
僕はツイッターを、もう7年ぐらいやっていますけれども、これはいいメディアだと思いますよ。ブログをやっているときは、ちゃんとパソコンの前に座って、お茶なんか飲みながら、一応まとまりのある、そのまま商品にできそうなクオリティのものを書いていたんですけれども、忙しくなってくるともうそんなことをしている時間がない。でも、ツイッターなら、電車の中とか、自動車の信号待ちの間にも140字くらい簡単に書ける。
何より、ツイッターはリアルタイムで起きたことをそのままレポートできるのがよい。わざわざ人に伝えるほどの意味もないことが書ける。「腹減った」とか、「微熱出た」とか、「鼻水とまらない」とか。身体的な不調を訴えることができるメディアって、これまでにありませんでしたから。ツイッターなら数時間後に消失するであろうその場限りの愁訴を伝えることができる。
実際、ツイッターを見ていると、実に多くの人が眠れずにいたり、二日酔いで苦しんでいたり、鼻水垂らしていたり、熱を出していたりする。ああ、世界の人たちって、みんなこんなに苦しんでいるんだということがよくわかる。ふだん、健康そのもので、何の悩みもなさそうな人が、きつい持病をかかえていたり、深刻な家族問題に耐えていたりする。それを読むと、まさに「共苦」の感覚にとらわれる。ツイッター上に「共苦の共同体」が立ち上がる。深夜ツイッターに「まだ眠れない」とつぶやくと、1分ぐらいで「オレも」というリプライが来る。そうすると、ああ、あいつも眠れないのかとわかると、ほっとする。眠れないよなんて、わざわざ友だちに電話したりしません。寝ている人を起こしてまで伝えるようなことじゃない。でも、ツイッターならできる。「愁訴の共同体」「共苦の共同体」というものを立ち上げたことがツイッターの最大の功績じゃないかと僕は思いますね。
(イラスト・しりあがり寿)
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