赤字球団を黒字化した「非常識経営」の中身 横浜DeNAベイスターズが復活したワケ

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──地域とのつながりでも苦心された?

実は就任3年目まではどの調査でも巨人ファンのほうが多かった。仮説を確認するため、僕は何事でも調査しまくる。横浜市民の野球ファンは巨人に大きくなびく数字ばかりだ。地域と密着していないことが端的に表れていた。

そこで、地域におけるレバーとなるテコの原理が働く施策は何かと考えた。子どもたちにベースボールキャップを配ることにした。1億8000万円かけて神奈川県内の小学生以下72万人に配った。お母さんたちはもちろん、子どもたちが同じキャップをかぶっているから周りの住民も意識してくれる。

この効果は絶大だった。このゴールデンウイークにロッテが球場で配り、それ以前も楽天が数万の規模で配っている。ベイスターズが最初ではないが、その配布した数が常識の一線を超えていたと言っていい。

リーダーがぶれたら、物事は終わり

──「超常識」をぶれずにやられたのですね。

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リーダーがぶれたら、物事は終わりだ。少しの成功の積み上げも必要だが、なるべく大きく成功したい。世の中が大いに認知してくれるぐらいの成功こそが成功と言える。プロ野球は多くの人に知ってもらう商売だし、社員もそれで元気になる。

──横浜スタジアムのボールパーク化構想もその一環ですか。

スタジアムとの一体経営はレバーとして極めて大きい。難題だったが、何とかクリアできた。

別に巨人ファンでも広島ファンでもいい。ただ、神奈川県、それも横浜市に住んでいるのなら、横浜スタジアムにぜひ来てほしい。スタジアムが楽しければ、野球観戦の呼び水に当然なる。

──黒字化ほか3つの目標を推進しました。これは常識ですか。

目標が定められないとプロセスが組み立てられないし、目標が高くないと、いろいろな試みや挑戦に対するアイデアも出てこない。

──優勝はできませんでした。

優勝はしたかった。ただ、僕はオーナーでもゼネラルマネジャーでもない。経営者なので経営の結果の数字が出ていることで評価されると考えていた。

──重ねて伺いますが、次のメインの仕事は?

今、肩書が14ほどになってはいるが、それぞれが、ど真ん中で意思決定の権限を持ってやれるものではなく、どっぷりやれるものがなく、いま一つ。ベイスターズは社員200人規模の仕事だった。次はケタ違いだといいが。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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